・ジェルマ66のあゝ無感情海遊記
短期集中表紙連載 第25弾。このシリーズでは、ホールケーキアイランド編の事件以降のジェルマの様子が描かれています。
Vol.20「一方、カカオ島ショコラタウン」
<これまでのあらすじ>
トットランド脱出の際にビッグ・マムと交戦して敗れ、モンドールのブクブクの実の能力により人間標本にされてしまった
ニジと
ヨンジは、オーブンに担がれてホールケーキアイランドに運ばれ、ブラウニーらに引き渡されています。どうやらジェルマの科学を暴く研究材料として解剖される様子でした。
↓
一方、ショコラタウンに2名の侵入者が出現。弟達を奪還するため、
レイジュと
イチジが早くもホールケーキアイランドに戻ってきた模様です。ジェルマの侵入を察知したブリュレはクラッカーにその事を伝えています。
↓
ところが、人間標本のまま解剖されようとしていたニジとヨンジが、人間標本の
謎の発火により、ブクブクの実の能力から解放されています。
↓
謎の発火後、ショコラタウンに居たはず?のイチジとレイジュが押し入って現場を制圧。ジェルマ4人は現場を立ち去っていく。 その様子を物陰から見る
シーザー(逃げ損ねたらしい)。
↓
ジェルマ4人の前に
カタクリと
オーブンが現れ、戦闘。シーザーはこの戦闘に割り込んで、毒ガス攻撃を仕掛け、ジェルマに脱出の助力を懇願。さらにシーザーの「幻覚ガス」がカタクリとオーブンに効いて錯乱に成功。ジェルマとシーザーが一緒に脱出。
一方、その頃、
ショコラタウンはどういうわけか住民も含めて街がカチコチに凍っていました。こんな芸当ができるのは”ヒエヒエの実”の能力者の
クザンぐらいなものです。”氷河時代(アイスエイジ)”で街ごと凍らされたのだと思われますが、クザンの目的は何なのでしょう。
ショコラタウンにレイジュとイチジらしき人物が侵入した後のことなので、
時間軸的にはビッグ・マムの留守を狙ったように見えます。そもそもブリュレが察知した侵入者がレイジュとイチジというのは誤認で(シルエット的にはレイジュとイチジだが、それがフェイクという前提)、元よりショコラタウンへの侵入者はクザンだった可能性はあります。
海軍を去ったクザンについては黒ひげ海賊団との関連が匂わされており(
【原作ネタ】 未回収伏線・謎のまとめ~ドレスローザ編~)、クザンが黒ひげ海賊団としてショコラタウンにやって来たのだとすれば、その目的は
プリンかもしれません。三つ目族の第三の目が真の「開眼」をすると、歴史の本文を読み解くことができるらしいので(853話)、黒ひげ海賊団がプリンを手に入れてワンピース争奪戦に参戦するつもりなのかもしれません。
・ベガパンクの猫
前回、ベガパンクの研究所がある「未来島エッグヘッド」近海に辿り着いた麦わらの一味とその他(ジュエリー・ボニー、カリブー)一行。遭難したルフィ、チョッパー、ジンベエ、ボニーの4人は一足先に島に漂着しており、”
海獣兵器(シービーストウェポン)”のメカシャークに襲われたサニー号はベガパンクの巨大ロボットにより救助されていました。
巨大ロボのコックピットから登場したベガパンクを名乗る女性は、ベガパンクのようには見えず、
ベガパンク本人ではなくアンドロイドの類などと予想されました。本話では早くも種明かしがされており、ベガパンク本人ではないことは確定しています。
1061話
このベガパンク(
PUNK-02)は「
猫(サテライト)」と呼ばれるベガパンクの分身(?)で、これに対してベガパンク本人は「
本体(ステラ)」と呼ばれているようです。サテライトは英語で「衛星」、ステラはラテン語で「星」の意です。ベガパンクは忙しすぎて時間が足りず、自分を6人に「分散」しようと考えたそうで、猫(サテライト)はPUNK-01からPUNK-06までの6人がいるそうです。「猫」の由来は人手が足りていないことを意味する慣用句の「猫の手も借りたい」から。
猫(サテライト)にはそれぞれ型番号の他に、漢字一文字に当て字の名前が付いています。
PUNK-01:Dr.ベガパンク「正(シャカ)」
PUNK-02:Dr.ベガパンク「悪(リリス)」
PUNK-03:Dr.ベガパンク「想(エジソン)」
PUNK-04:Dr.ベガパンク「知(ピタゴラス)」
PUNK-05:Dr.ベガパンク「暴(アトラス)」
PUNK-06:Dr.ベガパンク「欲(ヨーク)」
本話では
PUNK-01「正(シャカ)」が少しだけ登場し、
PUNK-05「暴(アトラス)」(※服にPUNK-06と書いてあるのはPUNK-05の誤り)はルフィサイドに登場しています。
猫(サテライト)達は自らをDr.ベガパンクと名乗っているものの、猫(サテライト)であることは自覚しており、自我もある様子です。そして、それぞれ容姿は異なり、口調や性格も異なっている様子です。もしかすると、”4年前”のパンクハザードの回想にて登場したベガパンク(684話)も猫(サテライト)だったのかもしれません。
684話
しかし、
本話までの情報では猫(サテライト)が一体何なのかは分かりません。人工知能を持つアンドロイドの類なのか、クローン人間の類なのか。
この点において、ベガパンクが猫(サテライト)を作った経緯について、”
自分を「6人」に分散しよう”と考えたと言われているのは注目に値します。自分を「6人」増やすとは言っていないのです。
「分散」とは1つのもの分けて散り散りにするという意味がありますから、6人に「分散」すると言えば、
ベガパンク本体(ステラ)の知能や自我を猫(サテライト)に分け与えているというような意味合いで受け取れます。したがって、
人工知能やクローン人間の類はこの意味合いに則していません。
じゃあ、猫(サテライト)は一体何なのかと考えると、意外なことに科学ではなく
悪魔の実の能力なのかもしれません。猫(サテライト)に”正”や”悪”、”知”など抽象的な漢字一文字が付いているのを見ると、なんとなく『ドラゴンボール』の魔人ブウの”善”と”悪”のような印象を受けます。
実際、研究費のために麦わらの一味から金品を強奪しようとしていたPUNK-02「悪(リリス)」に対して、PUNK-01「正(シャカ)」は通信で「
また略奪か!! もっと科学者のプライドを持て!!」と説教しており、PUNK-05「暴(アトラス)」は暴力的な印象です。「悪(リリス)」はベガパンクの悪の部分が、「正(シャカ)」はベガパンクの正義の部分が性格に反映されていたりするのかもしれません。
多数の”海獣兵器”でサニー号を包囲する中、
ゾロと
ロビンは「悪(リリス)」の首を狙っていることを「正(シャカ)」に指摘された「悪(リリス)」が、メカに興奮するフランキーといつもの調子で女性の前で鼻を伸ばしているサンジのことを指して「
おどけるバカ共は囮か…!!? 油断した…」と発言したのはかなりのフックがあるわけですが(笑)、ゾロとロビンのおかげで「悪(リリス)」から略奪を受けることなく、島へ案内されることになりました。「正(シャカ)」は麦わらの一味に「
興味がある」と発言しています。
ベガパンクが麦わらの一味に興味があるのは当然のことです。なぜかと言えば、
バーソロミュー・くまは海軍の実験体として少しずつサイボーグ化され、最終的に人間兵器になる契約を交わしていたわけですが(なぜ、そのような契約に至ったのかは不明)、人格を失う前(頂上戦争前)に、改造手術を行ったベガパンクとの間で一つだけ任務をプログラムするという約束をしていました。それが、シャボンディ諸島にて「
”麦わらの一味”の誰かが再び船に戻って来る日まで海賊船を死守せよ」(603話)というものだったからです。このプログラムによって、くまは完全に人間兵器と化した後、2年間、シャボンディ諸島でサニー号を守っていたのでした。
一方、ルフィサイドは勝手に研究所(?)内に侵入しており、3Dホログラムや無人調理機などのベガパンクの科学力を目の当たりにしています。こちらには先述したようにPUNK-05「暴(アトラス)」が出迎えています。「暴(アトラス)」は暴力的ですが、交戦的ではないようです。
そして「暴(アトラス)」も資金が足りていないことを嘆いています。冬島のエッグヘッドには「島エアコン」が完備されていますが、例えば、それを故郷のバルジモアに設置するほどの資金はないわけです。
あと、光を物体として捉えることができる「
光圧グローブ」なる発明品も登場しています。これによって、「暴(アトラス)」は3Dホログラムを殴っているわけですが、もしかするとこれは自然系能力者に対抗する軍用品として応用されているのかもしれません。覇気を使えない者(ロボットやサイボーグ)でも自然系能力者に攻撃することができたり?
・ジュエリー・ボニー
エッグヘッドへ一人で来たという
ボニーは
ベガパンクに用があるのだと言っており(
1061話)、
908話までの伏線から、ボニーは
バーソロミュー・くまの改造を行った件でベガパンクに用があることは明白でした。本話では「返答によっては…ベガパンクには死んで貰う」とも発言しています。
さらに、
ボニーは子供の頃にエッグヘッドに来たことがあるのと、
くまとの関係性は父と娘であることが明らかになっています。
908話
世界会議(レヴェリー)の際、ボニーは
ソルベ王国王太后コニーとしてマリージョアに潜入しており、バーソロミュー・くまが元ソルベ王国国王であることから(
908話)、ボニーの正体はコニーであり、くまとの関係性は母と息子と考えられましたが、実際はコニーはボニーの祖母で、くまはボニーの父だったわけです。レヴェリーに本物のコニーが参加していたのかは不明です。
ボニーは悪魔の実の能力によって身体を老化させたり幼児化させたりできるため、実年齢は不明となっており、ビブルカードONE PIECE図鑑でも年齢不詳で、
通常時の見た目から推定24歳とされています。くまの年齢は47歳ですから、ボニーの実年齢は通常の見た目通りなのかもしれません。
そして、ボニーが子供の頃にエッグヘッドに来たというのは、くまが最初の改造手術を受けた時なのかもしれません。革命軍軍隊長モーリーの「
くまちゃんの人生こそ「世界政府」の犠牲そのもの」(
908話)という発言の真意がエッグヘッド編で明らかになりそうです。
・暗殺の勅令
一方、エッグヘッドに向かう世界政府の船が一隻ありました。
この船には天竜人直属のサイファーポール”イージス”0(CP-0)の
カク、
ルッチ、
ステューシーが乗船しており、彼らの会話は不穏です。エッグヘッドへ向かう彼らの任務は、
くま型のセラフィム(新型パシフィスタ)を帰還させることと、
猫(サテライト)を含めたベガパンク全員の暗殺でした。
セラフィムの髪の毛が黒く塗られているのは案の定ミスで(笑)、今回は栄ちゃんの「らくがきメッセージ」で前述のPUNK-5のミスと合わせて訂正が発表されています。
今回CP-0に「
仮面の殺し屋」という異名が付いていますが、これはロビンが「
”マスク”をつけた諜報部員は更に別格」(1031話)と言っていた、CP-0の中でも別格の諜報部員を指しているのでしょうか。確かにルッチはCP-0で再登場した時から仮面を付けていましたし、今回、ステューシーのものと見られるフクロウ型の仮面が見えます。おそらくカクも仮面の諜報部員なのでしょう。
彼らがコブラ王を暗殺したのでしょうか?
ルッチは世界一役に立つ男であるベガパンクを暗殺することについて、「
先日のルルシアの件と何か繋がりが………?」と発言しています。「先日のルルシアの件」とはもちろん、ルルシア王国が一瞬にして滅亡した事件(
1060話)のことです。
1060話
五老星もしくは
イムの命令によって行われたと思われるこの破壊行為は、ルルシア上空に現れた
何らかの巨大兵器によって実行されたものだと考えられますが、これはトップシークレットです。
ベガパンクが天竜人直属のCP-0によって暗殺されるということ、ルルシア王国の件がその暗殺に関わっているかもしれないことを踏まえると、
ルルシア王国を滅亡させた兵器はベガパンクは開発したものだと考えられます。
五老星とイムはベガパンクにこのような兵器を開発させ、完成した後は、その秘密を知っているベガパンクを抹殺しようと考えたわけです。よくある話です。
また、ベガパンクが暗殺されるという状況で
くま型のセラフィムが登場しているの注目すべき点です。設定的にはセラフィムはエッグヘッドの設備でなければメンテナンスできないということなのだと思われますが、ここで敢えて くま型というのは展開上、意味があるものだと推察されます。
ベガパンクはCP-0に暗殺される立場になるわけですから、当然、麦わらの一味はベガパンクを守るという流れになりそうで、ベガパンクが味方につくという展開が期待されます。つまり、ベガパンクは悪人ではないということです。これは技術は実現しているのに資金難により世界を救えないことを嘆いている本話の様子や、バルジモアの住人の発言などから理解できます。
希望的観測としては、
くま型のセラフィムにバーソロミュー・くまの人格が移植されているというのがボニーや革命軍が救われる展開じゃないでしょうか。
そのような技術が可能であれば、猫(サテライト)にベガパンクの人格を分けて移植することも可能かもしれません。