・ジェルマ66のあゝ無感情海遊記
短期集中表紙連載 第25弾。このシリーズでは、ホールケーキアイランド編の事件以降のジェルマの様子が描かれており、シーザーとジャッジが再会してからは、かつて存在した研究チーム「MADS」が描かれています。
vol.29「火薬に咲く花”GPフラワー開発”でイベル平和賞受賞」
MADS所長時代のベガパンクは、火薬が爆発する代わりに花が咲く技術「
GPフラワー」を開発し、
イベル平和賞という賞を受賞したみたいです。一風変わった研究なので、現実世界の
イグノーベル賞に相当する賞でしょうか(略してイベル?)。
ただし、イグノーベル平和賞はどちらかと言えば、平和を脅かす人に皮肉で贈られることが多いのですけど。武器開発を行なっているMADSが表向き「平和研究所」(
1069話)となっているのもそういった皮肉なのかもしれません。圧倒的な武力(例えば核兵器)は戦争の抑止力になりますからね。
しかし、ベガパンク当人は現在、戦争の火種を1つ、世界から消すために「世界中に無償で”エネルギー”が行き渡る世界」を夢見て研究しており(
1068話)、他の研究員は置いといてベガパンク当人は平和を目指して研究していたのかもしれません。
物語終盤の大きな戦争で「GPフラワー」が活躍することがあったりして?
・ステューシーとウィーブルの正体
前回、CP0の
ステューシーの正体が明らかになり、政府を裏切り、ベガパンクに加勢しています。
1072話
その正体はMADSにより作られた
「ロックス海賊団 ミス・バッキンガム・ステューシーの”複製人間(クローン)”」であり、そのことから、エドワード・ウィーブルの母親で、「白ひげの愛人」を自称する
ミス・バッキン(802話)が
ステューシーのオリジナルであると予想されたわけですが、本話ではミス・バッキンがウィーブルとともに白ひげの故郷「スフィンクス」に登場し、
本名が
バッキンガム・ステューシーであること、
元ロックス海賊団であること、
MADS居候だったこと、
自称”科学者”であることが明らかになっており、
ミス・バッキンがステューシーのオリジナルで間違いない様子です。
1070話扉絵の後ろ姿の女性もミス・バッキンだったわけです。
ただし、「MADS居候」「自称”科学者”」という肩書きからは、ベガパンクはもちろんのこと、シーザーやジャッジ、クイーンらMADSに集まった科学者とは性質が異なる様子が窺えます。おそらく
ミス・バッキンは科学者としては偽物で、MADSにやって来た異分子なのだろうと考えられます。目的は不明です。
802話
ミス・バッキンは自身が「”白ひげ”が愛した女」であり、「
白ひげの血を引いた実の息子」はウィーブルだけだと予てから主張しています(802話)。ウィーブルの強さは確かに本物ですが、ウィーブルが白ひげの息子であることは疑わしく、白ひげ海賊団の残党達には信じてもらえていない様子です。
しかし、本話でミス・バッキンは
ウィーブルの血縁をベガパンクが証明できるとマルコに主張しています。
これはベガパンクに血統因子(DNA)を調べて親子鑑定してもらうということなのでしょうか。ベガパンクが鑑定してくれれば説得力はありますが、それはたぶん違います。と言うのも、やはりウィーブルが白ひげとミス・バッキンが愛し合って生まれた子だとは思えないからです。
しかし、ミス・バッキンがウィーブルの血縁についてそれほど自信があるということは、
ウィーブルが白ひげとミス・バッキンの子であることは確かな様子です。
前回の考察では、
ウィーブルはバッキンが作った白ひげのクローン人間の出来損ないという可能性について触れましたが、ウィーブルにミス・バッキンの血も入っているのならばクローン人間の説は消えます。
代わりに、
ウィーブルは白ひげとミス・バッキンの血統因子を受け継いだ試験管ベイビーなのではなかろうかと…。
試験管ベイビー、つまり体外受精を行う場合、一歩進んだ技術では精子は必要はなく、体細胞あるいは血統因子が入手できれば可能です。つまり、白ひげに協力してもらうことなく、白ひげの子供を作ることはできるわけです。
単純にMADSが開発したクローン技術の応用と捉えてもいいと思います。その場合は白ひげのクローン人間にミス・バッキンの血統因子を混ぜたと言うのが正確ですが。
また、現実世界の技術ではクローン人間は誰かが出産することになりますが、ジェルマのクローン技術を見るに、出産する母親は不要なようなので、ウィーブルはミス・バッキンが産んだわけではないかもしれません。ステューシーも誰かが産んだとすると、急に生々しくなるので産みの親はいないのではないかと考えられます。
そして、ウィーブルがちょっと”アホ”なのは、何かしら”失敗”しているのでしょう、と。百獣海賊団のナンバーズの知能が低い点にも通じるものがあります。
ベガパンクはウィーブル誕生の経緯を知っている、あるいはウィーブルを作った張本人かもしれません。ミス・バッキンはクローン人間作成の研究材料を提供する見返りに、ベガパンクにウィーブルを作ってもらった、なんてことも予想されます。
・ベガパンク失踪
本話では、なんと
五老星の一人(名前は
ジェイガルシア・サターン聖と判明)がエッグヘッドに向かっていることが判明しています。
黄猿はCP-0とは別任務でエッグヘッドに向かっているという話でしたが(
1069話)、五老星の護衛任務だったわけです。
既にCP-0にベガパンク暗殺命令を下しており、CP-0がエッグヘッドに先入りしていますから、サターン聖がエッグヘッドに出向く目的はベガパンクに会うことではないでしょう。
セラフィムの威権順位の都合上、威権順位がベガパンクよりも上位に設定されている五老星が現地に向かうメリットはありますが、ベガパンクを暗殺すればその必要性はないはずです。
ところで本話では、
ルッチによるセラフィムへの命令を、ルッチが眠って意識を失った後でも威権順位が同列(威権チップ所有者)のステューシーが上書きできないと言っています。しかし、威権順位上位の戦桃丸の命令をルッチは上書きしたわけでして(
1070話)、
その違いは命令を出した者の死亡、つまり
戦桃丸が死亡したということになるでしょうか?
そうだとすると、結果的にルフィが戦桃丸を見殺しにしたことになるので凄く嫌なんですが…。
ともかく、サターン聖の目的はおそらくベガパンク暗殺の原因に関わることであり、具体的には
ベガパンクが遺したかもしれない、歴史の真実の手がかりの隠滅ではないかと予想されます。
そもそもオハラのようにバスターコールでエッグヘッドを島ごと抹消すれば簡単なことのように思えますが、そうしないのはエッグヘッドにベガパンクが遺した貴重な財産があるから、あるいはエッグヘッドの防衛システムによりバスターコールで簡単に消滅させることができないからでしょう。防衛システムを無効化すればバスターコールは可能になりますから、前者の可能性が高いです(そういえば、防衛システムを止めたのは誰の仕業だったのでしょうね)。
しかし、
CP-0にベガパンクを暗殺させることはできても、歴史の真実を知らない(知っては生きていけいない)CP-0にその手がかりの隠滅を命令することはできないわけですから、五老星自ら出向く必要があったのではないかと考えられます。
一方、エッグヘッドでは
ステューシーによりCP-0の
カクと
ルッチが完封され、ベガパンク暗殺任務は失敗しています。
ステューシーは
海楼石を仕込んだルージュを使って能力者のカクとルッチの不意を突いたみたいですが、そのコウモリのような翼と噛んで眠らせることができることは謎のままです。
ステューシーは政府を裏切ったというよりも、元よりベガパンクの味方であり、政府に20年以上潜伏していたという話です。つまり、ベガパンクのスパイだったわけですが、それは意図したことではなかったそうです。これについても、まだ詳細は不明です。
ともかくCP-0を抑えた今、エッグヘッドからの脱出が可能になりステューシーも同行するそうですが、脱出を依頼した張本人の
ベガパンク本体が失踪してしまいました。どうやら
ボニーも失踪した様子で、これには
前回登場した「
くまの記憶」が関わっていると考えて間違いないですが、一体何が起きたかはさっぱりわかりません。
1072話
前回、ボニーは「くまの記憶」とされるものに触れようとしており、触れてしまった結果、何か異変が起きたのでしょうね。
前回の考察では「くまの記憶」とされる”それ”が「
くまの人格」そのものという可能性を言及していたわけですが、まさか
娘の体の中に父親の人格が乗り移ってしまったのでしょうか。そんな作品、どこかで読んだような気がしますが。
ところで、本話のゾロとセラフィムの身長の対比を見るに、
1070話の例のカットはやはりミスですね・。・
1070話
セラフィムはフォルムは子供でありながら、身長はそれぞれコピー元の元七武海(オリジナル)と同等となっているようです。
・スフィンクスにて
ワノ国の決戦に助太刀した後、白ひげの故郷「スフィンクス」に戻った
マルコは留守にしていた間に事件が起きていたことを住民から知らされています。
マルコが留守にしていることを見計らったようなタイミングで「スフィンクス」に現れた海軍の目的は、「
白ひげの財宝」を奪うことでした。
「スフィンクス」が世界政府非加盟地域であることを理由に傍若無人に振る舞い、金目当てに行動する
ラーテル大佐からは、アーロンパーク編に登場した
ネズミ大佐に似ているものが感じられ、実際に容姿も似ているのですが、二人は親戚なのでしょうか。
ラーテル大佐率いる海軍が「スフィンクス」の住民を脅していたその時、前述のように
ウィーブルが登場し、海軍を撃退しています。王下七武海制度撤廃と同時にウィーブル討伐に向かった海軍はウィーブルの返り討ちを受けて壊滅したみたいです。
「スフィンクス」を救ったウィーブルですが、
ミス・バッキンがウィーブルを連れて「スフィンクス」に現れたのも「白ひげの財宝」を求めてのことでした(白ひげが財宝を蓄えていたとは想像できませんけどね)。
しかし、海軍が「スフィンクス」に援軍を要請し、駆けつけたのが運悪く
緑牛だったようで、ウィーブルは緑牛に敗れ、軍艦で連れ去られたという話です。緑牛はワノ国の一件後に援軍要請を受けてスフィンクスに立ち寄ったと考えられます。
結局、王下七武海制度撤廃直後に行われた海軍の元七武海討伐作戦は全て失敗したみたいですが、ウィーブルが制度撤廃後に海軍に拿捕された最初の元七武海となりました。一体、お前は何だったんだ…w