LOGPIECE(ワンピースブログ)〜シャボンディ諸島より配信中〜 気象解説者・森田正光さんに聞くグランドラインの天気
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Yahoo!きせかえ × ONE PIECEコラボ記念の特別記事にて、気象予報会社ウェザーマップの会長で、気象予報士の森田正光さんが『ONE PIECE』のグランドラインの気候について、インタビュー形式で現実世界に照らし合わせて解説しています。一部、SBSで既に解説されているようなものもありますが、そこそこ面白いです。


(前略)ーー『ONE PIECE』のメインの舞台となっているグランドラインでは、島ごとに気候がかなり異なっています。

これは現実でもありますね。気温は、だいたい100kmで1度変わるんです。

さらに、島のように海が近い場所だと、もっと大きく変わることもあります。暖かい海流の近くの島なら(寒い地域でも)温暖になるし、逆も起きるんですよ


ーー現実の島々とグランドラインの気候は意外と似ているんですね!

あとは、気候が同じでも人が騙されてしまうことがあります

日本でも、0度の日の後に急に10度の日があると「すごく暖かい日だ!」と思ってしまいますよね。

そうやって人の感覚は簡単にごまかされてしまうので、「グランドラインは島ごとに季節がかなり違う」と言われても違和感はないですよ。


ーーなるほど!グランドラインのそれぞれの島についてもお聞きしたいです。まずはグランドラインの砂漠の国・アラバスタ。ここでは「ダンスパウダー」という、雨を降らせる粉をめぐった争いが起きていました。

ダンスパウダーのお話は、テーマとしてすごくおもしろいと思います。ただ、現実にいまの技術で雨が降らせられるかというと難しいですね。

いまの人工降雨は、もともと降りそうな雲にヨウ化銀やドライアイスをまいて凝結核をつくります。 なので、そもそも発達した雲がないとできないですし、できたとしても普通の雨のような大量の雨は降らないんです。

(中略)ただ、川などの水の取り合いは始まっています。これまでは石油を奪い合っていましたが、21世紀は水をめぐって戦争が起きると言われていますよ。


(中略)ーーおもしろいですね。続いては「空島」という、空に浮かび続ける島についてです。(中略)作中では、海楼石(海のエネルギーを持つ石とされる)に含まれる特殊な物質が凝結核になり、生まれた雲だと説明されています。

現実世界だと、雲の凝結核は海の塩なんですよ。波のしぶきが蒸発するとき、小さな塩が残るんです。それが上空に持ち上げられて、雲になっていくんですよ。


(中略)ーーグランドラインの異常な気候についてお聞きしたいのですが、まずは「飴玉が空から降ってくる」というシーンがあります。

これは「怪雨」と呼ばれる現象ですね。飴玉はないと思いますが、魚や幼虫が空からたくさん降ってくることはたまにあります。


ーーどういう仕組みなのでしょうか?

解明されていないんですよ。嵐で上に持ち上げられたとか、鳥がくわえていたのを落としただけとか、様々な説があります。いろんなところで記録が残っているのですが、理由ははっきりしていません。


ーーちょっとロマンを感じますね!「丸虹」という現象についてもお聞きしたいです。

虹というのは、そもそもすべて丸いんです。
上から見ると全部丸いんですが、地上から見ているので半円に見えるだけなんですよ。


(中略)ーーおもしろいですね!『ONE PIECE』では、航海士であるナミが天気を読み取るシーンも多いです。

観天望気」という言葉があります。ささいなことから「何となくいつもと違う」というのを読み取って、天気を予測する方法ですね。


ーーナミの天気の読み方は実在しているんですね。

昔の船乗りは、観天望気がすごく得意だったんですよ。風の向き、においなどから天気を予測したそうです。

日本でも、海の近くには「日和山」という山がたくさん残っています。これは、船乗りたちが海に出る前に、天気を予測しに行っていた山のことなんですね。


ーーナミのような「観天望気」は、才能がないとできないのでしょうか?

素人でも熟練すればできるようになりますよ。僕も50年間、天気の仕事をやっていますが少しは天気がわかります。

ただ「おかしいな」と思ったら、天気予報を見て答えを確認しています(笑)


(中略)ーーグランドライン全体の気候についてもお聞きしたいです。『ONE PIECE』は海がかなり多い場所のお話ですが、地球にこれくらいの海があった場合、どういう気候になるのでしょうか?

大きな海って気候が安定しているんですよ。「太平洋」という言葉も「大きくて平和な海」という意味です。なので、海の面積だけ見れば、グランドラインの方が現実より気候が安定していそうです(笑)


(中略)ーーグランドラインの側には「カームベルト」と呼ばれる無風地帯もあります。

こういう場所は現実にもありますね。地球の場合は、赤道の近くが多いです。


ーーカームベルトは、作中だと大きな生物がたくさんいて航行不能とされています。

現実でもここは難しいですよ。船乗りたちにとっては、こういう無風のカームベルトが一番怖かったんです。昔の船はエンジンがないので、大海原で風がなくなると、そこから動けなくなってしまうんですよ。

なので、無風は本当に危ないですし、実際にあったら「死の海」になると思います。


ーー現実でもカームベルトは航行不能の場所なんですね。最後に、グランドラインに行く前に覚えておくべき天気の知識があればお聞きしたいです!

ボイス・バロットの法則」を覚えていくといいと思います。

昔の航海士が見つけた法則なんですが、風が吹いている方向から低気圧(雨が降りやすい場所)を見つけられるんですよ。これがわかれば、天気が悪いところを避けて進むことができます。

それから、陸地を見失ったときは、雲があるところを目指してください。たとえその方向に何もなくても、雲があったらその下には陸がある確率が高いんです。

そういう航海術を覚えてから、グランドラインに行くのがいいと思いますね。


ーーいつか冒険に出るときのために覚えておきます。本日はありがとうございました!

Yahoo! JAPAN「グランドラインの天気は現実でも起きる?気象解説者・森田正光さんに聞いてみる」聞き手、執筆:まいしろ



ナミは観天望気


ルフィは能天気…〆



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