・マークIII出撃
CP-0がエッグヘッドのフロンティアドーム内の「研究層(ラボフェーズ)」に侵入した後、「工場層(ファビリオフェーズ)」に残った世界政府の役人達に対して、新型のパシフィスタ「
パシフィスタ マークIII」が出動しています。
”マークIII”ですので、頂上戦争に出動したプロトタイプよりも型式は3つ進んでいると見られ、レーザーに加えて、最強の盾と呼ばれる”
バブルシールド”という武装が追加されています。
”バブルシールド”はその見た目や「バブル」という名称から、シャボンディ諸島のヤルキマン・マングローブの
”シャボン”を軍事に応用した技術だと見られます。が、バズーカの砲撃を跳ね返すほどの強度ですので、特殊なシャボン液を使用している、あるいはパシフィスタが武装色の覇気を体得しているのかもしれません。
セラフィム達がそれぞれ1点物のパシフィスタであるのに対して、
従来のくま型のマークIIIは量産型の戦闘兵器という位置付けと見られ、エッグヘッドはマークIIIを50体も保有しており、その全てが出動しています。政府の役人達だけでこれに応戦するのは不可能で、彼らは降伏して工場B棟に収容されています。
そして、パシフィスタを出動させたのは
戦桃丸でした。
ベガパンクに恩義がある戦桃丸は世界政府を裏切り、CP-0の足止めするためにファビリオフェーズに残りましたが、ルッチらに敵うはずはなく敗れていました。
戦桃丸の意識消失後、ルッチは威権順位が上位の戦桃丸が出したセラフィムへの命令を上書きしましたが(
1070話)、
前回、ルッチが出したセラフィムへの命令を、
ルッチが眠って意識を失った後でも威権順位が同列(威権チップ所有者)のステューシーは上書きできないということから、
戦桃丸の死亡の可能性について言及したわけですが、戦桃丸は生きていたので、それでは説明がつきません。
意識の消失という点で、気絶と眠り(全身麻酔?)は違うということでしょうか。それとも、戦桃丸は仮死状態にまでなっていたのか。なんとも微妙な話です。
ともかく復活した戦桃丸は、海軍が妨害念波を出して通信を繰り返していることを察知して、パシフィスタ マークIIIをエッグヘッド海岸の警備に向かわせています。島内に侵入した
CP-0(ルッチとカク)は
ステューシーにより既に制圧されましたが、ベガパンクの脱出は異常事態により遅れており、このままではエッグヘッドに向かう海軍(先行して向かっているのは
黄猿)と鉢合わせしそうです。
・くまの記憶
CP-0を抑えた
前回、エッグヘッドからの脱出が可能になりましたが、脱出を依頼した張本人の
ベガパンク本体が失踪してしまいました。
ベガパンクが失踪するまで一緒にいた
ボニーも消えたのかと思いきや、ボニーは例のくまの部屋(ルームNIKYU)からベガパンクを放り出し、「
くまの記憶」と見られる それ↓に触れたのでした。
1072話
触れた途端、ボニーは幼少期の「くまの記憶」の仮想空間に入り、
くまの悲惨な経験を目の当たりにします。コミックス63巻のSBSで描かれた くま の姿は
二宮金次郎をモチーフにしたものでしたが、それよりもまだ幼い頃でしょうか。坊主頭にボロボロな服装は一致しています。
???:見つけたぞー!!! 来い!!
くま:うわあっ 助けてもうイヤだ!!
???:この野郎 今すぐ戻れ!!! お前が逃げたらおれ達全員殺されちまうんだよ!!!
くま:もどりたくない!! もう2度とあんなばしょ!! え〜〜〜〜ん
???:泣いて何になるクソガギ!! 戻れ!!
くま:じゃあここで殺せ!! 戻ったってどうせ死ぬんじゃないか!!!
(棍棒で殴打される)
くま:いたい ごめんなさい たすけて いたい ごめんなさい たすけて
この会話だけでは決め手にかけるわけですが、最後に差し込まれた街並みとシルエットの人物は、
マリージョアと
天竜人だと考えられ、
くま は子供の頃から天竜人の奴隷だったようです。奴隷生活に絶望して脱走したところ、他の奴隷達に連れ戻されているところの回想だと見られます。
知らなかった父親の事実にショックを受けたボニーは一度、「くまの記憶」から離脱してしまいますが、最後まで見ないと くまの死(自我を失う完全なサイボーグ化)を納得できないとして、もう一度「くまの記憶」に入る様子です。というか、そんな風に出たり入ったりできるんですね。
くまが天竜人の奴隷だったとすると、その後、どういう経緯かわかりませんが、
ソルベ王国の国王(
908話)になったというのは、ハンコックと共通点が多いですね。また、
タイヨウの海賊団が天竜人の奴隷の紋章「天駆ける竜の蹄」を太陽のシンボルで覆い隠したように、くまの肉球のシンボルも「天駆ける竜の蹄」を塗り隠したものなのかもしれません。
しかし、くまの状況がハンコックと違うのは、くまが脱走した天竜人の奴隷であることが後々バレてしまったのではないでしょうか。
くまは悪政のためにソルベ王国の国民に追われて海賊になったという話ですが(
1064話)、本当の理由はそういうことだったのかもしれません。そして、海軍に捕まり”終身刑”となった際(
1064話)、天竜人が引き渡しを要求し、それを阻止するためにベガパンクが くま を研究対象とするという理由で便宜を図ったのかもしれません。しかし、初めから引き渡しの期日は決まっていたのか、
最終的には くま は天竜人の奴隷に戻ってしまう、そんな状況だったのではないでしょうか。
そうであれば、今回の幼少期のくまの経験から、
くまが自ら自我を失うことを選ぶというのは納得できますし、奴隷に戻るなら死を選ぶという事実が
娘のボニーを傷つけることになる(
1072話)というのも合点が行きます。
また、くまが娘のボニーに自分が「
特殊な種族」(
1064話)であると言っていたのは、ハンコックが天竜人の奴隷を「人間以下」と形容していたような、
”人間族ではない”という自虐表現だったのかもしれません。もしそうだとすると、ボニーのショックは計り知れないですね。
・裏切り者?侵入者?
脱出を依頼した張本人のベガパンク本体が失踪したことの他に、脱出の障害となっているのは、ラボフェーズの防衛システム「
フロンティアドーム」が制御不能になったことです。システムを解除できないため、このままではドームから脱出した瞬間にレーザーで焼かれてしまいます。
これは、今のところ故障として考えられているようですが、真相は定かではありません。
監視カメラ(「
カメコ」と呼ばれる電伝虫)に映っていない死角にベガパンク本体が倒れているかもしれないとして、ベガパンクの猫(サテライト)と作業員達が順次捜索に出ていますが、そんな折、研究所内を歩いていた
ベガパンク「知(ピタゴラス)」が
誰かから襲撃を受けたのでした。
ピタゴラスを襲った者が「フロンティアドーム」を停止させてCP-0の侵入させ(
1071話)、その後、制御不能にさせた犯人なのかもしれません。ルッチらの反応からCPの差し金ではないはずですから、既に侵入している海軍あるいはエッグヘッドの裏切り者(スパイ)の仕業なのでしょうか。
「フロンティアドーム」を制御するコントロールルームには人影はなかったという話なのですが(
1071話)、犯人は
透明化していたのでしょうか。スケスケの実の能力者のシリュウはまさかと思いますので、透明化の技術が使われていたりするのですかね。
・暗躍する世経
所変わって、世界経済新聞社。
エッグヘッドの事件とベガパンクの暗殺命令まで既に察知している
モルガンズは、人気者のベガパンクの暗殺は反感を買うとして、世界政府に忖度してベガパンクの暗殺命令を隠蔽し、麦わらの一味がベガパンクを人質にエッグヘッドに立て篭もり、海軍と全面戦争になるという記事を企てている様子です(おい!ジャーナリズム精神はどうしたんだ!?)。
世界経済新聞はいつもこんな調子みたいなのですが、驚きなのは今回、モルガンズと一緒に失踪したとされている
ビビ(
1054話)が登場したことです。ついでに悪ブラックドラム王国国王
ワポルも登場しています。
ビビは「コブラ殺害」事件と同時に失踪したため、世界政府の闇に関わる事件に巻き込まれたと予想されていたわけですが(
1054話考察)、今回、ビビが発言した際に、ワポルが盗聴電伝虫に聞かれていたら「
政府に即消されるぞ!!」と発言していることから、どうやらビビとワポルは
見てはいけないものを見てしまい、政府に追われる立場となった様子です。
それはコブラの暗殺現場なのか、はたまたサボも目撃したイム(
1060話)なのか。
モルガンズは「
昨日まで泣いてた小娘が!! 偉そうにおれの仕事に口出ししてんじゃねェよ!!!」と発言していることから、おそらくビビとワポルは数日前までどこかに身を隠しており、それを発見したモルガンズが保護したものと考えられます。
予想が正しければ、ビビとワポルは世界政府のとんでもない秘密の目撃者ですから、モルガンズは世界政府よりも、エンターテインメントとしてそちらを選んだことになります。しかし、それを発信するのは時期尚早ということでしょうか。物語の最後、いつかは”真実”が世界中に広められるはずですから、これまでのようにセンセーショナルに世界に伝えられるためには、モルガンズの世界経済新聞は最後まで必要な存在なのでしょうね。
つまり、嘘と真実を散りばめて世界政府と上手く付き合ってきたモルガンズは最後の最後で世界政府を大きく裏切るはずでして、そう思うとかなり良い役どころのキャラです。