・ベガパンク人狼
エッグヘッドからの脱出をルフィに依頼した張本人の
ベガパンク本体の失踪、および研究層(ラボフェーズ)の防衛システム「
フロンティアドーム」が制御不能に陥る混乱の中、
前回、さらに閉鎖されたフロンティアドーム内で
セラフィムたちが無差別に攻撃を開始しました。
ベガパンクの猫(サテライト)の命令はセラフィムに通じず(シャカとリリスが停止命令を出していることは確認できる)、
威権順位最上位の五老星がラボフェーズ内にいるという可能性を除けば、威権順位が同列の者による命令は上書きできないというルール(
1073話)に則り、
威権順位が同列であるベガパンク本体(ステラ)とサテライトたち(1069話)の中に、セラフィムに攻撃命令を出した裏切り者のベガパンクがいる、という”
ベガパンク人狼”が始まりました。
フロンティアドームのシステムに細工をしたのも、おそらく同一人物だと見られています。
セラフィムが無差別攻撃を開始する前に停止命令を出していたのは「
想(エジソン)」ですが(1073話)、その停止命令については命令の継続性がないものという前提で考えます。
前回の人狼考察のおさらいですが、
セラフィムの反乱後にセラフィムに対して「止まれ」と命令を出したことが確認できる
シャカとリリスは白確定と言っていいかもしれません。
セラフィムから攻撃を受けた
ピタゴラスと
ヨークは白っぽいですが、ミステリーの定石としてカモフラージュの可能性もあります。ただし、
石化が威権の消失になるのだとすれば、ヨークは白くなる、というところでした。
前回のコメントでは「
パンクレコーズ」が怪しいのではないか、という考察がありました。確かに、犯人候補に含まれていないものの、犯人候補の条件に密かに当てはまっている真犯人というのもミステリーの定石ではあります。
「パンクレコーズ」の説明(
1067話)を聞く限り、それ自体に
知能はなく、知識と体験を記憶するストレージとしての役割しかないはずですが、後述の本話の新展開から
パンクレコーズ犯人説はにわかに現実味を帯びてきました。
本話では、失踪していたという
CP5および
CP7、
CP8が研究所内のとある場所に監禁されており、同じ部屋には失踪していた
ベガパンク「ステラ」も手錠をかけられて捕らえられていました。
CP0がエッグヘッドの開港を迫る際、ここ2ヶ月のうちにエッグヘッドを訪れた政府の船が1隻も帰還していないという「
エッグヘッド失踪事件」について切り出しており、全く思い当たる節がない様子のリリスの反応を見る限り、これはCP0のでっち上げかと思われましたが(
1068話)、失踪事件は実際に起きていたのでした。
2ヶ月前にエッグヘッドの調査を行ったCP5は、島を出港した後に、”海獣兵器(シービーストウェポン)”に襲われ、島へ逆戻りし、そして失踪。CP5の失踪を調べに来たCP7は1ヶ月前に失踪、さらにその失踪を調べに来たCP8は2週間前に失踪し(
1068話)、
政府は完全にベガパンクが首謀者だと睨んでいたようです。
しかし、
ステラはエッグヘッド内で失踪事件が起きていたことは全く感知していなかったらしく、ベガパンクと政府間で誤解が生じていたことが明らかになっています。ベガパンク達は1日1回、パンクレコーズを通じて「
体験と知識を同期している」ので(
1067話)、ステラと同じくサテライト達も失踪事件については知らなかったはずです。
ここでポイントなのは、ベガパンクの暗殺が企てられた経緯については、ベガパンクの”空白の100年”の研究がバレてしまったのだと思われていましたが(
1066話)、世界政府から見れば、エッグヘッドに向かった政府の船が立て続けに失踪しているため、ベガパンクが叛逆したのだと認識して当然です。
そもそも、ベガパンクに”空白の100年”の研究を行なっている疑惑がかけられたとして、CP5が調査に向かうというのは少し変な話で、CP5の調査というのはそれとは全く別の用件だったのではないかと思われます。ステラも、
脳内で行なっている”歴史の本文”の研究が政府に漏れるはずはなく、不可解であったと言及しています。
しかし、ベガパンク暗殺の命令はCP9ではなく、天竜人直属のCP0に出ているという点はよく分からないところです。さらに、五老星の
サターン聖も
黄猿の護衛つきでエッグヘッドに向かっており(
1073話)、科学者の叛逆だけにしては事が異様に大きいように思えますが、
セラフィムとパシフィスタを擁するベガパンクに対抗するにはCP9では戦力不足で、CP0にベガパンク暗殺を任せ、パシフィスタの威権順位最上位の五老星、海軍最高戦力の海軍大将が念の為、出動しているということなのでしょうか。
話をベガパンク人狼に戻すと、エッグヘッド失踪事件について感知しておらず、現に捕らえられている
ステラは白くなりました。また、エッグヘッド失踪事件は2ヶ月前から起きており、ベガパンク達は1日1回、パンクレコーズを通じて「体験と知識を同期している」ので(
1067話)、サテライト達もエッグヘッド失踪事件について知らないはずであり、
ステラとサテライト全員が白くなりました。
しかし、セラフィムの威権順位に関するルールに穴はないとすると、威権順位最高位の五老星が2ヶ月前からエッグヘッドにいたとはやはり考えにくいです。そこで、新たな犯人候補として浮上するのが「
パンクレコーズ」というわけです。
仮にパンクレコーズ自体に知能が芽生えていたとすれば、パンクレコーズはサテライト達と同様にベガパンクの脳の一部ですので、セラフィムに対する威権を持っていると考えられ、セラフィムの威権順位に関するルールをクリアできます。
また、パンクレコーズが犯人であれば、
1日1回の同期を回避することが可能だと思われます。例えば、ベガパンク達が共有していない隠しストレージを作っておくことなどが考えられます。
さらに、パンクレコーズ犯人説で都合がいいのは、
フロンティアドームが原因不明で一時的に解除された際に、コントロールルームに人影はなかった点です(
1071話)。
パンクレコーズが犯人であれば、密かにセラフィムやパシフィスタに命令を出すことがおそらく可能である一方、エッグヘッドの
防衛システムを直接操作することは容易いのではないかと思われます(海獣兵器も島の防衛システムに入るでしょうか)。そもそもパンクレコーズはエッグヘッドと一体化しているようなものなので、島のシステムとも一体化しているのかもしれません。
問題は動機です。
事の始まりは、CP5がエッグヘッドに何らかの調査にやって来て、その帰路、海獣兵器に襲われて、エッグヘッドに連れ戻され監禁されています。ベガパンクは失踪事件について知らず、全ての船の出航を確認しているとも証言しているので(1068話)、その後、調査にやって来たCP7とCP8に対する手口も同じだったと考えられます。
例えば、CP5が何かエッグヘッドの秘密を見てしまい、それを隠蔽するためにCP5を監禁したとして、CP7とCP8も調査によって何かを知ったとして、一旦、彼らを出航させた後に連れ戻しているのは不可解です。エッグヘッドで諜報員達が何かを発見したのであれば、電伝虫により本部に連絡が行われるはずですが、それは通信妨害により阻止されたのでしょうか。
隠蔽工作というよりは、CPがエッグヘッドで掴んだ秘密なんてものはなくて、ベガパンク達には知られないようにCPの失踪事件を起こしたように見えます。実際、監禁されていたCP5は調査で何を得たかについては今回、何も言及していません。
となると、CPの連続失踪事件を演出し、
世界政府にベガパンク暗殺を誘導したように見えてきます。
しかし、失踪していたステラは手錠をかけられて捕らえられていただけで、殺されてはいません。
ステラが死ねば、ノミノミの実の能力消失によりパンクレコーズも消失してしまうからでしょうか。であれば、ステラを含むベガパンク暗殺計画を誘導したことは失敗と言えます。そもそも、ステラを除くベガパンク暗殺を企てるのであれば、世界政府を巻き込まずともセラフィムに命令すれば十分なはず。
結局、動機はよく分からず、
パンクレコーズの”暴走”と見るのが妥当かもしれません。
現在、機械学習などにより革新的に進歩している
人工知能は近い将来、人類を凌駕すると予測されており、その段階は「
シンギュラリティ」と呼ばれています。
エッグヘッド編では人工臓器(オルガノイド)など最新の生命科学のトピックが取り入れられているわけですが、
パンクレコーズが意図せず生まれた人工知能だったとして、毎日、ベガパンク達の知識と体験を学習し、ノミノミの実の能力により急速的に肥大化(成長)しているとすると、シンギュラリティが起こり、
パンクレコーズがベガパンクの頭脳を凌駕する人工知能になってしまったのかもしれません。
世界一の天才の頭脳を凌駕する人工知能が考えることなんて、我々には到底理解できるはずがありません。
・ウォーランドにて
ワノ国を出航した
キッド海賊団は巨人族の島であるウォーランド「
エルバフ」に辿り着いていましたが(
1071話)、因縁ある”先客”がおり、戦闘になっています。
その先客とは、先日ワノ国近海に来ていた
赤髪海賊団と、その傘下の海賊団でした。
キッドは赤髪海賊団との戦闘で左腕を失ったという話でしたが(
928話)、本話の赤髪海賊団幹部の会話より、
キッドの左腕を落とした張本人は
ベン・ベックマンだったようです。
赤髪海賊団にはエルバフの戦士が味方しており、W7から故郷に戻っていた
オイモと
カーシー、そしてなんと彼らの船長である
ドリーと
ブロギーが登場しています。二人の決闘にケリがついたとも思えないのですが…。
シャンクスは戦闘になる前にキッド海賊団に戦闘するか、それとも「”ロード歴史の本文”を置いて消えるか」という二択を迫っています。シャンクスはグランドライン最後の島「ラフテル」に行ってはいないものの、その位置を特定した現場にいたロジャー海賊団の一員なので、ラフテルの位置を既に知っているものと思っていましたが、まだ”ロード歴史の本文”を集める段階なのでしょうか。それとも、キッドにワンピース争奪戦から降りることを迫っただけなのか。
展開的にも戦力的にも、ここでキッド海賊団がワンピース争奪戦から脱落し、ビッグ・マムとカイドウが所持していた”ロード歴史の本文”を赤髪海賊団が入手するということになりそうです。
また、シャンクスはエフバフで「
互いに死んだと思ってた旧友に会った」と言っています。
「互いに」死んだと思ってたという部分はよく分かりませんが、この旧友とは
サウロのことなのでしょうか。サウロはオハラの事件で大火傷を負ったものの、生存しており、オハラの文献を回収してエルバフに身を潜めていると推察され(
1066話)、ワンピース争奪戦の手がかりとされる「
”火ノ傷”の男」(
1056話)だと予想されています。
ワンピース争奪戦は赤髪海賊団が完全にリードしている模様です。