・幻の部屋
前回から引き続き、
1ヶ月以上前の世界会議(レヴェリー)開催期間中にマリージョアで起きた事件の回想です。本話では、マリージョアで起きた3つの事件の1つ「
チャルロス聖の殺人未遂」の真相と、もう1つの事件「
コブラ王の殺害」に繋がると考えられる
コブラが
五老星に謁見した様子が描かれています。
事件前、パンゲア城内に侵入していた
サボは、
くまを含む奴隷達の首輪の鍵を入手し(チャルロスとロズワード一家の奴隷の鍵がまとめて管理されているということでしょうか?)、サボの掌から現れた
カラス(の分身?)に鍵を渡して、くま解放の任務は他の軍隊長たちに任せています。
この時、サボはくまを解放するという同じ目的を持つ
ボニーと遭遇しており、ボニーは革命軍を信用して、くまの解放には向かわず、その足でエッグヘッドに向かったようです。
くまを解放すれば、今回の革命軍の任務(
1083話)は全て完遂したことになり、この時、サボの役割は既に終了していますが、
サボには任務とは別にパンゲア城に用事があったようです。その用事は今回、城内の衛兵の会話から示唆されています。
パンゲア城の衛兵は時より消息不明になることがあるようで、それについて衛兵たちは”幻の部屋”を見てしまったことが原因だと噂しているようです。見てしまった者は消えてしまう、と。
火の無いところに煙は立たないわけでして、この噂の”幻の部屋”とは
イムの居室と見られる「
花の部屋」(
908話)だと考えられます。パンゲア城内にある部屋ですから、衛兵たちには「この部屋には入るな」と通達しているのか、そもそも扉が隠されていて意図せず入ってしまうことが偶にあるのか。”幻の部屋”と呼ばれている様子からは後者のような気がします。いずれにせよ、
存在しないはずの世界政府の唯一王であるイムの存在に気づきかねない輩は直ちに消されてしまうわけです。
908話
おそらく、サボは事前に”幻の部屋”の噂を嗅ぎつけており、そこに世界政府の重大な秘密が隠されていると目していたのではないかと思われます。そして、パンゲア城内を探っている中で「
虚(から)の玉座」に座るイムの姿を目撃し、その場にいたコブラ王の暗殺事件に巻き込まれたと考えられます。
・天竜人殺人未遂事件
同時刻、パンゲア城内「社交の広場」にいた
しらほしは、フカボシらが目を離している隙に、懲りずに現れた
チャルロスと
ロズワードの命令に従う奴隷の
くまにより捕らえられていました。
天竜人の暴挙に他の王族達はしらほしを助けることもできず逃げ出す中、駆けつけた
フカボシ、
リュウボシ、
マンボシの三兄弟は失望し、世界政府との絶縁を覚悟して妹を救出しようとしたところ、天竜人の
ミョスガルドが止めに入ります。
「フカボシ殿 王族は我慢してくれ!!」
ミョスガルドはフカボシらを止めた一方で、
レオや
サイらは見過ごしています。ミョスガルドの意図は、王族が天竜人に手を出せば、国に火の粉が飛んでしまうことを危惧したものでした。海賊ならOKですよ、と。
レオらトンタッタ族はドレスローザの正式な護衛なのか分からないですが、八宝水軍棟梁のサイは花ノ国の王の護衛としてマリージョアに同行しているはずですから、サイが天竜人に手を出せば問題にはなるはずです。が、天竜人のミョスガルドが責任を持つと言っていますので、その問題はクリアできるみたいです。
ただし、結果的に「
天竜人殺人未遂事件」という大きな事件になっており、場に居合わせた目撃者は多く、犯人は既にサイとレオに特定されているかもしれません。サイやレオ個人は犯人として追われることになり、国には帰れないかもしれません。となると、彼らは既に麦わら大船団として合流しているかもしれません。散り散りになった麦わらの大船団が段々と合流してくると、最終局面に向けて期待が高まりますね。
サイとレオによりチャルロスが文字通りぺちゃんこに潰れた騒ぎの中(これで生きていたチャルロスはなかなかのタフネスですw)、地下から現れた
モーリーが
くまを抱え、そのまま地下に潜って逃亡したようです。革命軍の任務はこれにて完了しました。
・コブラ王の質問
同時刻、「虚の玉座」の間にて、
コブラが
五老星に謁見していました。コブラは今回のレヴェリーに質問を携えてやって来ていました。その内容は
アラバスタ王国の歴史に関わるもので、世界政府の真実に近づこうとするものでした。
世界政府は800年前、”
20人の王達”によって作られ、彼らは一族でマリージョアに移り住み、やがて天竜人と呼ばれるようになります。”
20人の王達”は1人の独裁者など生まれぬように、虚っぽの玉座(虚の玉座)を作り、そこに誰も座らぬ誓いとして玉座の周りに王達の20本の武器が立てられています。
一方、”
20人の王達”のうち、
アラバスタ王国の王はマリージョアに移り住まず、下界に残ったとされています(
907話)。
そして、王族がマリージョアへ移り住んだ19の国では、新たな王が生まれ、”最初の20人”に名を連ねる王族の名は祖国には残っていないそうです。一方、アラバスタ王国の王族は当時も今もネフェルタリ家であり、”最初の20人”に名を連ねているのは当時の女王
リリィです。
リリィは天竜人になっていないので、虚の玉座の誓いは実際は19人の王達によって行われたらしく、
虚の玉座の周りの武器も正確には19本しかないとのこと。確かに、武器は19本でした(
907話)。
907話
後半部分は本話で初出し情報ですが、正確には武器は19本なんだけどね、という部分は世間的に知られている話みたいです。そして、この後が
世間的には知られていないリリィの話です。
コブラはアラバスタの事件後、”歴史の本文”がなぜ国にあるのか興味を持ったのか、国に残る古い書物を読み漁ったようです。それらの書物はいずれも”空白の100年”以降の文献だったわけですが、コブラはそこにリリィの名が残っていない違和感に気づきます。
アラバスタの歴史によると、
リリィ女王はアラバスタ王国には帰って来ておらず、彼女の弟がその後のアラバスタを治めているそうです。リリィはどこに消えたのか?…それがコブラの疑問でした。
コブラの質問に五老星(サターン聖)は800年も昔の話で知る由もないと返答しています。ここまでは世界政府の真実に迫るものではなく五老星たちは平然としていましたが、
コブラの2つ目の質問で潮目が変わり五老星たちが明らかに警戒を示しています。
コブラ「では”D”とは?」
五老星「なぜ…それを聞く?」
コブラ「実は…800年前の彼女の短い”手紙”が代々王家に受け継がれているのだが…」
五老星「!!?」
本話では気になる手紙の内容までは不明です。
コブラが「”D”とは?」と切り出していますから、手紙にも「D」が書かれているのかもしれません。
そしてここで、五老星たちも驚くことに、コブラがまだいる「虚の玉座」の間に
イムが姿を現し、玉座に座ったのでした。このハプニングで、コブラの暗殺は避けられないものになったはずです。
イム「リリィ……」
喋ったーーー!!!?
名前を言っただけなので何のこっちゃわかりませんが、実は、「虚の玉座」の間のコブラと五老星の会話は
イムがいる「花の部屋」にも通じており、おそらく手紙の内容を聞いて、
イムは女王リリィに何らかの反応を示した模様です。
908話の考察では、
20本目に当たる武器が「花の部屋」に示唆的に立てられており、イムは「虚の玉座」の誓いを立てなかった”20人の王達”の一人であると予想していました。イムは何らかの方法(例えばオペオペの実の不老不死手術)で不老不死になっているとも予想しています。
908話
この考察に準えると、本話では「虚の玉座」の誓いを立てた王が元より19人であり、”20人の王達”の1人であるリリィは誓いを立てていない王ですから、
イムの正体はリリィということになります。
今回、イムの髪の毛らしき描写と、全身シルエットにおける目の位置がはっきりと描かれており、全身シルエットでベール状に見えていた部分はどうやらストレートのロングヘアのようです。イムが女性であれば、しっくり来ます。
しかし、
イムの正体がリリィだったとして、リリィ本人が「リリィ……」と言うのかという疑問が残ります。ただし、例えば
リリィの名前を既に捨てていて、800年もの間「イム様」と呼ばれていたら、どうでしょう。リリィという名前を懐かしく思う気持ちがあったのかもしれません。
また、リリィがイムであれば、”D”は”20人の王達”と敵対した勢力だと考えられますから、リリィの手紙に”D”が記されているなら、そこにはリリィの”D”に対する敵意が示されていると予想されます。モンキー・D・ルフィとマーシャル・D・ティーチの手配書は切り刻まれていましたわけですし(908話)。
ところで、本話のイムのシルエットを見ると、906話の人物はやはり
イムとは別人のように見えてきます。
906話
こちらは子供なのでしょうか?
イムの役割をリリィの子孫が世襲しているのであれば、似たような子供がいても、おかしくないですけども。
それともイム(悪)とイム(善)の二人がいるのか……と言うのも、
イムが”D”に対して敵意を示しているのに対して、906話の人物は”D”に対して好意を持っているようにも見えなくもないです。ルフィの手配書を抱えて、麦わら帽子を見つめているのですから。
次回、イムの正体は明らかになるのか?
本誌連載は次号休載ですorz