・Dの思想
前回から引き続き、
1ヶ月以上前の世界会議(レヴェリー)開催期間中にマリージョアで起きた事件の回想です。前回までに、革命軍による くまの奪還、「
チャルロス聖の殺人未遂」の真相(犯人は
サイと
レオ)が描かれています。
海軍大将が2人も応戦したのにも関わらず、革命軍の作戦が全て上手くいった要因として、戦闘地が天竜人の居住区である「神々の地」だったことのほか、「神々の地」で奴隷を解放しようとする革命軍を
藤虎(イッショウ)が手助けしたことに対して
緑牛(アラマキ)がブチ切れて大喧嘩になっていたことが挙げられるようです。それは海軍の大失態ですね(汗)。
今回は「
コブラ王の殺害」に繋がる、
コブラが
五老星に謁見した様子の続きが描かれています。
コブラは
世界政府の創始者となる”最初の20人の王達”に名を連ねている、800年前のアラバスタ王国の女王リリィについて五老星に質問をしていました。
リリィは”20人の王達”のうち、唯一マリージョアに移り住まなかった王とされていますが、アラバスタの歴史によると、
リリィ女王はアラバスタ王国には帰って来ておらず、彼女の弟がその後のアラバスタを治めているとされています。
また、コブラは”D”についても質問しています。
コブラがそのような質問をした理由は、アラバスタ王家に代々受け継がれている
リリィの短い手紙にありました。この手紙の文面は演出上、一部伏字にされていますが、内容は概ね次の通りです。
”歴史の本文(ポーネグリフ)”を守りなさい
××××ゆく世界に夜明けの旗をかかげ
ネフェルタリ・D・リリィ
まず、明らかになった新事実は
ネフェルタリ家も”D”だったということです。
おそらくネフェルタリ家は、トラファルガー家のように”D”を
隠し名としており(763話)、最初の20人の王達も含めて世界政府のこの事実を知らなかったと考えられます。
そして本話では、
”D”は世界政府(となる20の国)と敵対した者達の名であると明確になっています。つまり、”最初の20人”のうち、
リリィは裏切り者あるいは”D”のスパイだったということになります。
前回、わざわざコブラの前に現れた
イムの目的は、その点を直接問うためでした。
イムは
”ポーネグリフ”を忌々しき遺物と称しているのですが、
これが世界中に散らばることになったのは800年前のリリィの大失態によるものだと言います。そして、
これが本当にリリィのミスだったのか、それとも計画的だったのか、ずっと疑念を持っていたわけでして、その答えが「リリィの手紙」にあるはずだとイムは考えたわけです。
その読み通り、リリィは”D”だと判明したことから、
800年前の”ポーネグリフ”の解放はリリィによる失態に見せかけた計画的な犯行だったことになります。しかし、この「”ポーネグリフ”の解放」というのは具体的には不明ですが、一人の行動によって物理的に”ポーネグリフ”が世界中に散らばることは考えにくいです。
世界中に散らばる
”ポーネグリフ”は800年前に”石工”であるワノ国の光月家により作られたことは既に明らかになっています(818話)。つまり、
リリィは800年前に”ポーネグリフ”が作られることになった切っ掛けを作ったと考えられます。それが光月家と関わることなのか、”ポーネグリフ”の内容に関わることなのかは不明です。
818話
ところで、800年前、800年前と言いますが、”800年前”は世界政府が創設された年、つまり”
空白の100年”の末で、敵対して滅びた”D”は後世に”ポーネグリフ”を遺したことになります。その内容についてはワンピースの核心の謎なわけですが、”ポーネグリフ”として遺した理由は、世界政府によって破壊されないためです。
リリィは「”ポーネグリフ”を守りなさい」とアラバスタ王家に伝え、実際、アラバスタ王国では代々王家により”ポーネグリフ”が守られていました。また、リリィの手紙には、これまでにも何度か出て来ている「
夜明け」というキーワードが書かれています。
リリィの手紙で演出上、伏せられている部分は「
××××ゆく世界」で、これに「夜明け」がもたらされようとするわけですから、文脈的にネガティブな言葉だと類推されます。例えば、「沈みゆく世界」とか「失われゆく世界」とか。
しかし、
演出上、文字が伏せられているわけですから、この部分は非常に重要ですし、上記のような安直な内容ではないと類推されます。
なぜ伏せられるのかといえば、
現状の世界政府による支配がどういう世界になると考えていたのか、世界政府と敵対した
”D”の”思想”が透けるからです。
かつて、”空白の100年”の謎に迫ったオハラの学者達は、”空白の100年”に存在したと考えられる「
巨大な王国」の”存在”と”
思想”が世界政府にとって脅威だったのではないかと指摘しています(395話)。
世界政府と敵対して滅んだと考えられる「巨大な王国」とは”D”の王国だと考えていいと思いますが、この
Dの”思想”は未だ明らかになっていません。
まず、”D”とはこれまで”Dの一族”と本編外で称されることがしばしばあったわけですが、これは
当時、血族ではなく、おそらく同じ”思想”を掲げる者達だったと考えられます。すなわち、クリスチャンのミドルネームだったり、SNSで同じ思想を持つ人が共通のタグをアカウント名に付けていたりするのと同じ感じです。
しかし、世界政府の世界になった後世では名前についている”D”の意味が失われ、子孫の名前から”D”が消えたり、隠し名として”D”が受け継がれていたりしたわけです。”D”が隠し名となった理由は、当時、世界政府の世界になった際に世界政府と敵対した”D”を名乗ることが憚られたためでしょう。
隠し名として受け継がれているうちに隠す意義が失われ”D”を単にミドルネームとして受け継がれた家系もあったはずです。それが、ルフィも含めて現在、隠しもせずに”D”の名を持つ者達です。イムはそんな彼らについて
己の名の意味も知らぬ”抜け殻”共と称しています。
「抜け殻」と称されるのは上記の仮説に当てはめると、
”D”の名だけ持って、Dの”思想”を持っていないと読み取ることができます。
イムがそう言い切れるのは、
Dの”思想”については世界政府が何らかの方法で徹底的に情報操作して後世に遺さなかったからであり、D側がその対抗手段としてDの”思想”を後世に伝えるために遺したのが”ポーネグリフ”だったと考えられます。それがリリィのファインプレイですね。
では、そのDの”思想”とは何なのか。
エッグヘッド編ではベガパンクが「
高い文明を持つ王国」が900年前に存在していたことを明かしており(
1065話)、900年前とは”空白の100年”の始まりにあたり、それは「巨大な王国」と合致すると考えられます。
1065話
「巨大な王国」の遺物と考えられる巨大ロボット「伝説の鉄の巨人」は、
ベガパンクの科学力を持ってしても再現できない部分があり、それは”
動力”でした。ベガパンクは「
今の世界の常識を変える程の力が…過去にはあった」と言います(
1067話)。
1067話の考察では、その動力とは科学の範疇を超える”
魔力”である可能性について触れました。
しかし、”空白の100年”に存在したと見られる、この「古代のエネルギー」(
1068話)は「巨大な王国」とともに失われてしまっています。
すなわち、
Dの”思想”とは、この古代のエネルギーを使おうとすることではないでしょうか?
これを踏まえると、リリィの手紙の「××××ゆく世界」の部分は「
◯◯が失われゆく世界」となり、「◯◯」に入るのは古代のエネルギーの名前だと考えられます。それが魔力であれば「
魔力が失われゆく世界」という具合です。
・イムの正体
これまでの考察では、
イムの正体は世界政府を創設した”20人の王達”の一人であると予想しており、
前回の考察では、イム=リリィの可能性について言及しました。しかし、今回、リリィが”D”のスパイだったことが明らかとなり、この説は否定されました。リリィがアラバスタに帰国せず、どこに行ったのかは謎ですが。
今回、イムの名を聞いたコブラはその名前に聞き覚えがあり、
”最初の20人”に「イム」という王が名を連ねていることを指摘しようとしたところで、イムに遮られています。
また、イムは「”D”とはかつて
我々が敵対した者達の名だ」とか、「
あの日のリリィのミスがなければ」などと、800年前の出来事について、まるで当事者のような語り口で喋っており、
イムが”20人の王達”の一人であることはどうやら間違いなさそうです。
イムはきっと不老不死なんでしょうねぇ・・・。
イムは不老不死の力を持っていたことで、リリィを除く”20人の王達”の中で唯一生き残り、結果的に絶対的な権力を手に入れることになったと類推されます。
あと、イムは自身を「
ムー」と称し、相手を「
ヌシア」と呼んでいるわけですが、これは
天子が自身を「朕(ちん)」と称する様な立場に準じた言葉遣いなのか、
ミンク族の様に種族固有の方言なのか分かりません。
後者であれば、この様な方言を持つ種族はこれまで登場していないわけでして、ビッグ・マムが言及していた
歴史のかなたに滅んだかもしれないという種族(935話)が、もしかしたらイムの種族だったりするのかもしれません。
・イムと五老星の能力
コブラが
イムの姿を見てしまった時点で、コブラの命が取られることは決まっていたわけですが、コブラがネフェルタリ・リリィが”D”であったことを明かすと、イムが能力を使いコブラに直接手を下しています。
状況的にイムの命令なしに、会話の途中で五老星が勝手にコブラを攻撃するとは考えにくいため、
コブラを攻撃した能力はイムのものだと考えられます。
そして、ここで状況を窺っていた
サボが登場します。
血を流して倒れているコブラの横でサボが立っていると、この状況が監視カメラで撮影され、情報操作によって新聞記事にされた模様です。
革命軍の任務が完了した後のサボの用事(
1084話)とは、あわよくば
五老星を全員討ち取ることだったようです。単独で来る用事ですかね?w
サボの登場で
イムと五老星が全員変身しています。
変身したシルエットは元の立ち位置と同じと考えられます。鳥っぽいシルエットはバジリスクでしょうか? 変身した彼らは「グルルル」や「ガルルル」と唸っており、サボがその様子を「地獄」と形容していることから、全員が
動物系能力者だとしても
幻獣種や
古代種なのではないかと推察されます。
多勢に無勢で、サボはコブラを守れず敗走したようです。
そして、この様子を覗き穴から目撃していたのが
ワポルでした。
そんなところに覗き穴があったら、とうに塞がれているはずですから(笑)、五老星と謁見するコブラの様子が気になったワポルが穴を開けたのでしょうか。
ともかくコブラの暗殺現場を見てしまったワポルは自身の命が危険だと察知して、マリージョアから早急に逃走することになります。その途中、CP-0に拉致されていた
ビビと遭遇し、ビビはワポルと共に逃げることになったわけです。
1083話の考察で言及していた様に、ビビは
ルッチに拉致されたものと考えられます。CP-0はビビを拉致した任務の目的は知らない様子ですが、今のところ、ビビを拉致した理由はコブラの人質ではないかと考えられます。コブラの問答次第ではビビが人質になっていたのかもしれません。
ともかく、拉致された時点でビビは失踪扱いとされ、ビビとワポルの逃避行が始まったわけです。