・密航者
前回までの回想で、
1ヶ月以上前の世界会議(レヴェリー)開催期間中にマリージョアで起きた事件(「革命軍による くまの奪還」「
チャルロス聖の殺人未遂」「
コブラ王の殺害」「ビビの失踪」)の真相が描かれました。そして、コブラ殺害の事実は隠されたままレヴェリーは閉会しています。
つまり、この時点でアラバスタ側からすると、コブラとビビが失踪した形になるわけですが、
ビビは
ワポルとともに、帰路に着くエイギス王国の船に密かに乗り込んでいました。ワポルは「虚の玉座」の間で覗き見た衝撃の事実(
1085話)をダシに世界経済新聞社の
モルガンズに救出を依頼したようで、モルガンズは取材と称してエイギス王国の船に近づき、その間にビビとワポルはモルガンズの飛行船に乗り移り、現在、二人は世界経済新聞社に匿われているわけです(
1074話)。
ここで、
モルガンズはビビ失踪の原因も、コブラ殺害の真相とイムの存在も知ることになったはずですが、新聞ではその事実を一切報じることなく、サボをコブラ殺害の犯人に仕立て上げています。
1074話の考察で言及したように、この真実を世界に報じるのは、まだ時期尚早ということなのでしょう。世界経済新聞社が世界政府に狙われることになりますからね。
サボが犯人になることで、世界政府にとってはコブラ殺害の真実を隠蔽できるメリットがある一方、サボが已む無く犯人役を受け入れたように、この報道は革命の士気を高めることになったため、長期的に見れば世界政府に不利な状況になりました。
物語の終盤、最終的にモルガンズは今回の真実を世界に報じることになるのでしょう。やはり彼の役どころはおいしいですね。
一方、くま奪還を革命軍に任せて一足先にマリージョアを去った
ボニーはタジン王国の船に、コブラを守れず重傷を負った
サボはなんとかルルシア王国の船にそれぞれ乗り込んで密航しています。その後、ボニーはエッグヘッドに向かい、サボはルルシアに到着すると革命を目撃し、革命軍入隊希望者を連れて出航した後、「
ルルシア王国消滅事件」(
1060話)を沖から目撃したわけです。
1060話
・マザーフレイム
本話では、ルルシア王国消滅事件に繋がるレヴェリー閉会後のマリージョアの
五老星と
イムのやり取りが描かれています。ついでに、
五老星の役職と本名が全て明らかになっています。
農務武神 シェパード・十・ピーター聖
財務武神 イーザンバロン・V・ナス寿郎聖
法務武神 トップマン・ウォーキュリー聖
環境武神 マーカス・マーズ聖
科学防衛武神 ジェイガルシア・サターン聖
名前は太陽系の惑星ですね。「ジュピター(木星)」「ビーナス(金星)」「マーキュリー(水星)」「マーズ(火星)」「サターン(土星)」。
役職の「武神」は行政の各部門のトップを意味していると思われ、エッグヘッドに出向いた五老星が「科学防衛武神」のサターン聖(
1073話)だったのは然るべき人選だったわけです。
今回の五老星とイムの会話からは、
ルルシア王国を滅亡させた空飛ぶ巨大な兵器は、
ベガパンクが作った「
マザーフレイム」と呼ばれる代物であり、イムがその試し撃ちのために実験場所として”距離が近い”という些細な理由でルルシア王国を選んだことが明らかになっています。イムは世界の創造主であり破壊神というわけです。
ちなみに、イム登場時点の考察(
908話)から
イムは”
不老不死”であり、
”最初の20人”の一人である可能性が考えられたわけですが、
前回、”最初の20人”に「イム」という王が名を連ねていることがコブラによって指摘されており、さらに本話では同じような考察が
イワンコフによって語られています。
文献(「Genesis(創世記)」)には、”最初の20人”の中に「
ネロナ家」の「
イム聖」という王がいたことが記されています。つまり、イムの本名は
ネロナ・イムだと考えられます。
イム登場時点の考察(
908話)にて「イム」が「仏(ほとけ)」と読めることに冗談半分で言及していたわけですが、
「ネロナ」は「神」の合体漢字であり、ネロナ・イムで「神仏」となります(笑)。懐かしのIQサプリですw
興味深いのは「
マザーフレイム」についての
イワンコフと
ドラゴンの問答です。イワンコフはルルシア王国を滅ぼした兵器が世界政府の「兵器」だと仮定して、そんものを作れるのはベガパンクしかいないと言いますが、ドラゴンは
ベガパンクはあからさまな殺人兵器は作らないと弁護します。
これにはイワンコフも同意しており、
ならば「古代兵器」だったのではないかと言います。古代から生きているイムが元より「古代兵器」を所持していたと考えたわけです。しかし、世界政府が「古代兵器」を所持していたのであれば、なぜ今まで使わず、今使ったのかとドラゴンは指摘しています。
確かにその通りで世界政府が元より「古代兵器」を所持していたとは考えにくく、
実際、「マザーフレイム」を作ったのはベガパンクです。
イワンコフとドラゴンの問答と「
マザーフレイム」を作ったのがベガパンクである事実を照らし合わせると、
ベガパンクは世界政府の注文で「古代兵器」を再現した兵器として「マザーフレイム」を作ったのではないかと考えられます。ベガパンクの興味は古代の科学力への挑戦です。
これを踏まえると、「マザーフレイム」の実験について五老星が「
確かに試してみなければアレが本物かどうかもわからない」「
実験結果如何でエッグヘッドへの対応を考えるとしよう」と言っているのが理解できます。
「エッグヘッドへの対応」とは
ヨークの密告(
1079話)を受けての対応です。
「マザーフレイム」が「古代兵器」に類する力を持つ”本物”であれば、もはや世界政府にとってベガパンクは用済みとなるわけですが、
実験前から「マザーフレイム」には課題があると見られます。
と言うのも、五老星(V・ナス寿郎聖)が「
いずれその力が自在に使えたら」と言及しているからです。実験の結果、ルルシア王国は一瞬で消滅し、「マザーフレイム」が”本物”であったことが証明されたはずですが、革命が起きた各国やエッグヘッドに「マザーフレイム」が使われる様子はまだありません。
おそらく、それには
”エネルギー”の問題があるのだと考えられます。
つまり、「マザーフレイム」の発動には莫大なエネルギーを要するのではなかろう、と。
ベガパンクはエネルギーの課題に取り組んでおり、古代には謎の”動力”があったと考えられています(
1068話)。
「マザーフレイム」の連発を可能にするのは”古代のエネルギー”なのかもしれません。
そうなると、世界政府にとってまだベガパンクに死んでもらっては困るはずですが、
世界政府は”古代のエネルギー”を使用することを否定する立場なのであれば(
1085話考察)、「マザーフレイム」のエネルギー問題の解決は止む無しとなり、ベガパンクの暗殺が決定したのかもしれません。
「マザーフレイム」の件の次に、
イムは「
ビビが欲しい」と発言(命令)しています。
この命令は時系列ではビビが失踪した後になりますので、
最初にビビがCP-0に拉致されたのはイムの命令ではないと考えられます。
前回の考察のようにコブラの人質として捕らえられていたのか、あるいは単に他の天竜人に狙われただけなのかもしれません。
イムがビビを狙う理由は不明なところです。
・セラフィム
本話の回想では、ドフラミンゴ型、モリア型、クロコダイル型のセラフィム3体の存在が確認できます。旧王下七武海のセラフィムは全部揃っているわけです。
名称はS-クロコダイル、S-ゲッコー、S-フラミンゴでしょうか?
・フィガーランド家
本話では「
チャルロス聖の殺人未遂」(
1084話)に関与した天竜人
ドンキホーテ・ミョスガルド聖が、”
神の騎士団”最高司令官
フィガーランド・ガーリング聖に処刑されたことが明らかになっています。
”神の騎士団”は天竜人の主要戦力だと思われますが(
1083話)、ガーリング聖はかつて「
ゴッド・バレー」で活躍し、”
王者”と呼ばれていたようです。
「ゴッド・バレー」とは「
ゴッドバレー事件」(
1049話、
957話)が起きて、現在は抹消されている島のことですね。38年前、そこで大事件が発生し、ロックス海賊団がゴッドバレーに出向き、ロジャー海賊団およびガープと戦闘になったと見られています。結果、ロックス海賊団が敗北し、天竜人の奴隷を守るためロジャーと共闘したガープはついでに「天竜人を守った」ことで”海軍の英雄”と呼ばれるようになりました。
しかし、「ゴッド・バレー」が天竜人が関与してる土地であったこと以外、そこがどのような場所だったのかは分かっていません。
また、「
フィガーランド」家とは原作本編では初出になりますが、
映画『ONE PIECE FILM RED』の五老星の発言から、
シャンクスがフィガーランド家の出身であることが窺い知れます。さらに、映画特典コミックス「巻四十億」掲載の設定では、
ゴッドバレーの事件の際、ロジャー海賊団が奪った財宝の中に1歳のシャンクスが紛れ込んでいたという話です。
かつてガーリング聖が「ゴッド・バレー」の”王者”であったことから、
「ゴッド・バレー」の支配者はフィガーランド家だったと推察されます。
そして、ロジャー海賊団は民間人から略奪を行わない海賊だと仮定すると、
ロジャー海賊団が奪った財宝はロックス海賊団のものであり、ロックス海賊団はゴッド・バレーで富を蓄えていたフィガーランド家の財宝を狙ったのかもしれません。その中にフィガーランド家の子供のシャンクスが紛れ込んでいた、と。
こうなると、
シャンクス=天竜人説は確度が高く、シャンクスは海賊でありながら五老星に謁見できること(
907話)に納得できます。
ただし、
この説は単なる状況証拠であり、シャンクスと世界政府側がこの事実を認識するためには、シャンクスがフィガーランド家の”証”を何か持ってたはずです。失踪した当時1歳だった子供がシャンクスと同一人物なのか親も確証は持てません。それは物的な証拠なのか、遺伝的なものなのか。もしかすると、
フィガーランド家は赤髪が特徴なのかもしれません。
ガーリング聖は赤髪だったけど白髪で真っ白ということで。
また、天竜人同士は同等と見られていた中、ミョスガルドが不条理な理由で処刑されており、どうやら
天竜人の中にも格付けが存在するようです。
それはイムの存在から窺えるように、おそらく
”最初の20人”の王の血が濃い天竜人がより上位に格付けされているのだと考えられます。つまり、ミョスガルドのドンキホーテ家は分家であり、フィガーランド家は本家という具合です。
フィガーランド家や五老星の家系も全て”最初の20人”と同じ名前なのだろうと思われます。