・暴君くま誕生
前回から引き続き、くまの過去編です。
くまは
ジニーが遺した子である
ボニーを育てることになったわけですが、ボニーもジニーの死因である難病の希少疾患「
青玉鱗(せいぎょくりん)」を発症してしまいます。「青玉鱗」は
自然光を浴びると皮膚が石のように固く青くなるという奇病です。
病気の進行を抑えるため、ボニーは自然光が入らない室内でずっと生活していましたが、この病気は時間経過でも進行してしまうため、医者は、ボニーが「
10歳の誕生日を迎える事はない」と くま に告げるのでした。
医者との会話をボニーに聞かれていた くま は、医者が言うにはボニーの病気は「
10歳になるまでは治らない」と咄嗟に嘘をついてしまいます。10歳になったら病気は治ると喜ぶボニーを前に、くまは後に引けなくなってしまうのでした。
ボニーの病気をなんとかしたい くま でしたが、ソルベ王国でも問題が起きます。
6年前(ボニー6歳)、
ベコリ王が再び南部の切り捨て政策を開始したようで、今度は22年前の”奴隷政策”のような回りくどいやり方はせず、火をつけて燃やし人を大量に殺し始めたそうです。これはゴア王国が行った政策を模倣したものでした。
怒るくまは一人、国王がいる城に突撃し、城ごと破壊して王国を打倒するのでした。国民たちに持ち上げられた くま は教会に住む「国王」となり、この事件は「
一人革命」と呼ばれることになります。
くまは相変わらず教会で牧師をしており、国の実務は先々代国王(つまりベコリ王の前の王)の
ブルドックが行っていました。そして、ブルドックの母親である元王太后が
コニーでした。本話では
トシトシの実の能力で老人になったボニーがコニーに似ている様子が描かれています。
908話
マリージョアの守衛は年寄りに変身したボニーをソルベ王国のコニーと認知していたわけですが、ボニーはコニーの容姿に偶々似ていて、名前も偶々似ていたということになります。
そして、教会の中で生活しているボニーがなぜか
トシトシの実の能力者になっていました。これには くま も驚いており、トシトシの実の入手ルートは不明です。部屋の中に悪魔の実が転がっているものでしょうか。辻褄合わせが、なかなか苦しい感じではあります。
ともかく、ベコリ王の悪政を打倒した新国王の くま はソルベ王国の国民から厚い支持を得たわけですが、国外に敗走したベコリ王は王位を取り戻すための準備をしていました。ベコリ王は くま が村を燃やして暴力で王位を奪った”
暴君”だと風評を流し、そして世界政府を味方につけて海軍の軍艦を引き連れて王位を奪い返しにソルベ王国に戻ってきました。
しかし、覚悟を決めた くま がこれを撃沈します。
これによって、ソルベ王国に平穏が訪れますが、くま は犯罪者(少なくとも軍艦を沈めた)となってしまったためボニーを置いて国を出ています。国王のくまが不在となったことで、
ソルベ王国の王にはブルドックが返り咲き、コニーも王太后に戻ったわけです。
海に出た くま は海賊として手配されますが、その悪名はベコリ王が流した虚実に基づくもので、実際のくまは世界を巡り、ボニーの病気を治す手がかりを探っていたのでした。賞金稼ぎ時代の
アブドーラ&ジェットにも遭遇してますが、あっけなく撃退した模様です。
・ベガパンクとくま
世界各地を巡っていた
くまは旅の途中で革命軍の船と遭遇し、
ドラゴンから
ベガパンクならボニーの病気をなんとかできるかもしれないと助言を受けています。
「先日の事故で奴の研究所が移る様だ」と言っているので、パンクハザードでシーザーが化学兵器暴発事故(669話)を起こした
4年前の出来事のようです。また、この時まで
イワンコフと
イナズマはインペルダウンに投獄されたようです。
事故の影響で、ベガパンクは自身の研究所をパンクハザードから海軍科学班第8研究所(後の
エッグヘッド)に移しており、警備が手薄なため普段よりも会いやすいということでした。事情はドラゴンがベガパンクに通していた様です。くまは早速ボニーを連れ出してベガパンクに会いに行っています。
ボニーは「子供の頃」にエッグヘッドに来たことがあると言っていたのは(
1062話)、この時のことです。くまはボニーにベガパンクのことを「病気が治る前のチェックをしてくれるドクター」だと紹介しています。
パシフィスタが造られた経緯として知られている、ベガパンクが くま の筋力に惚れ込んだというのは(
1064話)本当で、ベガパンクは くま と出会って開口一番「筋肉を調べさせてくれ」と発言しています。そして、期待通りベガパンクは「青玉鱗」を治すことができると言います。
治療は幹細胞移植とのこと。こちらの世界の医学で言うところのiPS細胞による再生医療のようです。「青玉鱗」は皮膚の病気ですので、遺伝子治療した皮膚の幹細胞を、全身の皮膚に移植すれば確かに治るのかもしれません。
ただし、それには莫大な手術費が掛かるため、くまをクローン兵の素体にしたいベガパンクは
くまの血液の提供とクローン兵を作る許可を条件に手術をタダで請け負うと申し出ています。ボニーが助かるなら何でもいい くま はこの条件を呑んでいます。
つまり、
くま自身がサイボーグ化する条件はこの時点ではないのです。
不穏なのは、ベガパンクとくまの会話を盗聴していた様子の
サターン聖が「
チャンスを活かせん男だなベガパンク ー私に考えがある…!!」と発言していることです。
くまが自我を失うことになる改造手術はサターン聖が命令したことのようですので(
1094話)、この後、サターン聖が くま を追い込む条件を突きつけていくことになるのだと思われます。くまがかつて逃亡したバッカニア族の奴隷の少年だとサターン聖はこの時認知したはずですので、私怨もあるのかもしれません。