・歪んだ未来
くまの過去編が
前回までで終わり、本話冒頭では、くまが自我を失うに至った経緯を”くまの記憶”に触れて知った
ボニーが
ベガパンクと和解しています。
ベガパンクはボニーによって”くまの記憶”が保管されている部屋から締め出された後(
1072話)、ヨークの裏切りにより拉致されて失踪(
1073話)、救出されてヨークが捕縛された後(
1078話後)、”くまの記憶”が保管されている部屋に戻り、ボニーの様子から彼女が全てを知ったのだと悟ったと見られます。
ベガパンクはこのタイミングで
くまから預かっていたボニーの
10歳の誕生日プレゼントを渡しています。プレゼントはサファイアで出来た「
太陽のネックレス」で、くま は
お守りだと言っていたそうです。
サファイアは「青玉鱗」でボニーの顔に出来た青い石のような皮膚を くま が綺麗な”宝石”だと形容し(
1098話)、海賊になったボニーは自身をジュエリー・ボニーと名乗っていたことから、くまが選んだのでしょう。ロバートの秋山さんが自身の尿結石をネックレスをしたことがありますが(笑)、それとは違って素敵な話です。
お守りについて、ベガパンクが「
確かにのう…あの小僧があんな姿になるなんて2年前一体誰が想像した」と言うところが本話に関わるポイントで、ボニーはまだベガパンクの真意を理解していません。少し分かりにくいので整理しておくと、まず、「太陽のネックレス」とは当然、
太陽の神ニカを信仰しているものと見られます。
ベガパンクは”ゴムゴムの実”の正体が”ヒトヒトの実モデル・ニカ”であることを知っており、実際にルフィがニカの姿に変身した様子をエッグヘッドで確認しています(
1069話)。しかし、ベガパンクがこの説明をした時、ボニーはその場におらず、大量の虫で気を失っていました(1067話)。
”2年前”に くま がルフィにニカを重ね、「いつか世界を救う男だ」と期待していたわけですが(
1102話)、ルフィは本当にニカの能力を持っており、”ニカのお守り”を持っていたベガパンクは事件当日に偶然やって来たルフィ達に救われたため、「確かにのう…〜」という発言になるわけです。
時間軸は現在に戻り、エッグヘッド事件当日、ボニーが
サターン聖によって拘束されている状況です(
1095話)。
ボニーはトシトシの実の能力である”
歪んだ未来(ディストーションフューチャー)”により”
ニカみたいな未来”に変身して、腕をゴムのように膨らませてサターン聖の顔を殴りますが、その拳は風船のぽよんっと跳ね返ってしまいます。これはサターン聖が何かしたわけではなく、ボニーの能力が弱くなっているみたいです。
”ディストーションフューチャー”は、どんな未来にも変身できるものの、現実を知るほど、選べる未来が狭くなってしまうのだとか。これはつまり、
能力者自身がその未来の可能性をどれだけ信じられるかという点に依存しているということです。
ボニー自身は「ニカをいる」と口で言いますが、ニカを信じていた純粋な気持ちが失われ始めており、それが能力で露呈してしまったわけです。
前述の通り、ベガパンクがニカ=ルフィだと確信している一方、
ボニーはルフィの白い姿を見ていたとしても、その姿とニカをまだ結びつけていません。ボニーもニカ=ルフィであると確信すれば、ニカの信仰心を取り戻し、”ニカみたいな未来”が元の力を取り戻す、あるいはそれ以上の力を発揮するかもしれません。
・本能の欠片
本話では「青玉鱗」は、
サターン聖が人体を使って行った”薬物実験”の副作用であることが判明しています。
天竜人の第8夫人となった
ジニーは、サターン聖の実験の被験者にさせられ、「青玉鱗」を発症。生まれたボニーにも「青玉鱗」が遺伝し、それを治療するための条件を元凶であるサターン聖が くま に突きつけていたわけです。「青玉鱗」は希少疾患として認知されているため、ジニーのような被害者は他にも多数いると考えられます。
さらに、
ボニーは
トシトシの実の能力を6歳頃に発現しており、教会の中で暮らしているボニーがどうやって能力者になったのかは不明でしたが(
1099話)、それすらも
サターン聖の実験だったことが明らかになっています。
サターン聖の実験は直接”悪魔の実”を食べられない赤ん坊に”悪魔の実”のエキスで能力を与えるというもので、サターン聖曰く「不要な実」であるトシトシの実が実験材料に使われました。おそらくジニーが知らぬところで、赤ん坊のボニーは被験者となっており、実験は結果的に成功したことをサターン聖は確認していたようです。つまり、ボニーは赤ん坊の時から能力者だったわけですが、ボニー自身は能力者の自覚がないので、6歳頃になって能力が偶発的に発現したということになります。
結局、
全部、サターン聖のせいだったわけです。
サターン聖にはトシトシの能力による年齢操作も通じず、ボニーは圧倒的な悪であるサターン聖に対する畏怖から震えて戦意喪失してしまいました。精神は10歳の少女ですからね。
他人に干渉する能力が通じない場合、覇気で防御している可能性も考えられますが、「
このジジイ年齢操作も通じねェ!!何でだ!?」というボニーの思考がわざわざ描写されており、
年齢操作の能力が通じない何らかの理由がサターン聖にあると考えられます。
安直ですが、サターン聖が不老不死という可能性はあるでしょう。その場合、他の五老星とイムも不老不死だろうと考えられます。38年前のゴッドバレー事件の現場でサターン聖の姿を確認できますが、不思議なことに現在と容姿は変わっていません(
1095話)。しかし、イムと違い、五老星の面々は世間に存在が知られているため、不老不死であれば変な噂が立ちそうなものです。
他の可能性としては、サターン聖の能力は「悪魔」がモデルだと見られるため、
覚醒能力者と見られるサターン聖が「悪魔」そのものになっているとすれば、悪魔に寿命はないでしょうから年齢操作が通じないというのは納得できます。こちらの説を推したいところです。
そして、ボニーがついに殺されてしまうという絶体絶命の危機に、マリージョアから飛んでいた
くまが読者の期待通り、ついに駆けつけるのでした。ボニーに銃を構えていた海兵をレーザーで一網打尽にし、サターン聖の攻撃からボニーを体で守り、
怒りの右ストレートをサターン聖の顔面に!!!というところで本話は終わりです。
顔面に一発食らわせることができたのかは不明です。殴ることができれば、ルフィが天竜人を殴った事件と重なりますが、この持ち越し方の場合は一発食らわせることが出来なかったのではないかと予想してしまいます。サターン聖にはダメージ耐性があるようですし、相手の動きを止める念力のような能力も持っていますからね(
1095話)。
くま がエッグヘッドに上陸したことには
ベガパンクは驚いており、何らかのプログラムを事前に仕込んでいたわけではなさそうです。一方、本話では、くまが暴走したことについて、
ドラゴンは”
本能の欠片”によって動き出した可能性について言及しています。
もちろん、”本能の欠片”とは何のことか不明です。
くま はボニーの治療の条件として王下七武海や自我を失う手術を受けたことは革命軍の仲間には話していないため、何らかの手がかりとして”本能の欠片”なるものをドラゴンに託していたとは考えにくいです。したがって、”本能の欠片”とはドラゴンがベガパンクから後日、聞き出した情報だと推察されます。
”本能の欠片”とは、言葉の意味から推察すると「本能」の断片ということでしょう。
ベガパンクは「”自我の喪失”とは人として生きた記憶 人間の感情を失う事を指す」(
1101話)と定義しており、逆に言えば、
自我を失う手術では、記憶と感情以外は失っていないとも捉えられます。それを”本能の欠片”と呼ぶのではないでしょうか。
完全にサイボーグ化した くま はプログラムによってロボットのように命令に従いますが、
命令が及ばない場合には本能で動く可能性があるというわけです。実際、
今の くま には威権チップが通用していないため、命令に従うプログラムが故障しているのかもしれません。
そして、くまの場合、”本能の欠片”はボニーを守ることだったわけです。
記憶と感情を失っても、それだけは消えなかったわけです。
・食料をあげたのは誰?
ルフィ「メシ〜誰か頼むメヒィ〜」
ベガパンクやサンジ達がサターン聖の念力のような能力によって身動きが封じられている中、お腹が空いて力が出ない
ルフィに、周りの目を盗んで
食糧を運んだ者がいるようです。
サターン聖「おい誰だ そいつに食糧を与えたのは!!」
周りにいる海兵がルフィに食糧をわざわざ与えるはずはありません。
戦桃丸は既に捕縛されており、ボニーに多少同情しているはずの黄猿はダメージで動けない様子です。
食料を欲しがっているルフィの声を聞いたアトラスがラボフェーズにいるエジソンに通信していたとすれば、能力的には
ロビンが遠隔からルフィに食料を与えることは可能だと思いますし、
ウソップが黒カブトで食料を飛ばして届けることも可能なはずです。
大穴予想はセラフィムの
S-スネークです。
セラフィム達はヨークが出した命令を上書きできないため、現在、「バブルボール」に閉じ込められているはずですが(
1090話)、ルフィが食料を欲しがっていることを驚異的な聴力で知り、ルフィを助けるためにウソップ?がS-スネークを解放した可能性は考えられます。S-スネークは恋の遺伝(仮)により、ルフィの命令は聞きますからね(
1090話)。
一方、麦わらの一味が命の恩人だと感謝している
サイファーポール達(
1090話)が、自分達が政府に始末されると悟って寝返り、ルフィに味方した可能性も考えられます。