真弓:最初の頃、役も馴染んでない頃だったんですけどね、勝平に向かって、要するにウソップに向かって「おいルフィ!」って言ったことがあります。
勝平:言われたことがありますね。びっくりしました。突然ルフィって言われて。とりあえず本番中だったけど「ルフィはお前だけどな」って返しました(笑)
荘口アナ:笑
真弓:自分の名前呼んじゃうってね、相当あり得ないよ。役者としてはね、もう最悪
勝平:まるで僕がやったみたいに言われてますけど
荘口アナ:今、指差して「最悪」って言ってましたねw
真弓:凄い最悪ですね
荘口アナ:他の作品でもなる?そんなことないでしょ?
真弓:ないですね
勝平:そうですね。よく女の子で自分の名前で自分を呼ぶ人はいますけどね
真弓:あとね、最初の頃「海賊王におれはなる」を1回「怪物王に」って言ったね
勝平:怪物くんや
真弓:「怪物王におれはなる」って言ったね。ウケたね〜。最初の頃「海賊王」ってのも、今でこそ何回言ったのってくらい言ってるけど、「海賊王」も馴染んでなかった頃があったって話
荘口アナ:勝平さんもアフレコでこんなことあったな〜って覚えてる話あります?
勝平:ワンピのアフレコって、コロナを経て、やっぱ収録の形が変わって、コロナの時って一人ずつしか録れなくなっちゃって今ようやってまた少しずつ、10人ぐらいまでは一緒に録れるようになったんですけど
真弓:だって50人入ってたから
荘口アナ:え!?
勝平:そう、ワンピース一番多い時、頂上決戦のあたりとかって50人ぐらい声優が入って4本のマイクで皆、入れ替わり立ち替わりでやってたから
真弓:本当に地べたに座ってる若い人がいっぱいいた
勝平:だから今考えたら、あれは夢だったんじゃないか?ってw よくやってたなって
荘口アナ:ぶつからずに、さささってやって
勝平:そこが日本のアフレコの技術の高さっていうか
荘口アナ:アフレコで難しくて悩んだ事とかありますか?
勝平:難しくて悩んだ事ではないんですけど、僕、ルフィとメリー号で降りるの降りないの時にルフィと延々と喧嘩する話が2週あって、それが実はテストを録ってくれてたんですよね。スタッフが。テストを録って「本番はもういいです」「テストを流します」って。
荘口アナ:これでOKって?
勝平:はい。ていうぐらい凄く気合いが入って、真弓さんの胸借りて芝居するっていうか、それが凄く印象に残ってますね
荘口アナ:もう1回やってって言われたら大変だな〜って?
勝平:そうですね、よっこらしょってもう1回やるのも大変。でも通常だとテストでやって、もちろん本番をやるんですけど、その時はなんでしょうかね?
真弓:録っててくれたんだね
荘口アナ:一応、回しときますねとかも言わなかったんだ
勝平:はいはい。
真弓:毎回録ってるのかな?私達はテストはテストと思って
勝平:その時はこれで大丈夫ですって感じになったんですね。
真弓:多少合ってないところも…
勝平:どうしてもダメな所は録り直しますけど、(そのシーンを)観ると所々ちょっとすべってるっていうか、言葉明瞭じゃなかったりしてるところもあるんですけど、それも全然アリで。なんですけど、最後全部ゾロが持っていくっていうね
真弓:そうそうそうそう
勝平:うちらが30分、ぐぁ〜って頑張ったのに(ゾロが)「迷うな」って言って
真弓:To be continuedにかかって声残すのやりたいんだよね。
荘口アナ:1回もないんでしたっけ?
勝平:あんまないと思う
真弓:めっちゃいいんだよね。緞帳が降りる瞬間に見得切ってる感じ。気持ちいい。それが大体、ゾロとかサンジだよね
荘口アナ:真弓さんは私の中でこれ悩んだな〜とかは?
真弓:悩んだなというか、原作モノだから原作があるから有難いのと大変な部分っていうか、例えば尺がちょっと長かったりね。もっとこうリアルに喋るにはね、これちょっと長いんだよって。そういう時、(言葉を)足しても普通良かったりするじゃないですか。それが許されない。尾田っちが書いたものが全てなんで、尾田っちが書いたものに足すっていうのがあり得ないんですよ。でも尺が長すぎるとリアルに喋れないんだよ〜とか、ここで息継ぎたくないんだよ〜とか。「あ〜ん、これやると私、下手っぴに見えちゃうじゃん!」とかさw そういうことはある。
他(作品)ではもうちょっと緩い。やっぱりワンピースを大事に想う、我々も含めてスタッフも全ての人が尾田っちの作り上げたものを良くしたい、余計な手を入れて良くするじゃなくて。私も長く(声優を)やってきていて、自分で勝手に足したり引いたりしてるところが今までありました。それで自分のリアルを、なるべく自分の生理に合ってるものにしようと思ってやっちゃってたけど、ワンピースだけは出来ないですね。