・ベガパンクの計略?
前回から引き続き
ベガパンクの世界配信です。
内容は先に話していたことと重複、またはこれまでの話から窺い知れるものですので、ほとんど進展はありません。ベガパンクの”空白の100年”研究の話はおそらくこれで概ね終わりです。
本話では「
マザーフレイム」に「消えない炎」と当て字されていますが、この言葉自体は
1065話でベガパンクがマザーフレイムの研究を語る際に登場していました。「マザーフレイム」は未完成ですが、実用化段階にまで到達しているものだと言います。
注目するのは、ベガパンク(ステラ)が一欠片の「マザーフレイム」が盗まれたことを認識していたことについて、
ヨークがひどく困惑していることです。
その理由はエッグヘッド事件前日までの騒動の犯人がヨークだと分かった際のステラの驚きが本物であり、
ステラが嘘も演技も下手であることを知っているためです。
配信はエッグヘッド事件の数日前に撮影されたと見られるビデオが再生されており、ステラがルルシア王国消滅の情報を得て地震と海面上昇を予測し、「マザーフレイム」が盗まれたことまで認識していたのであれば、盗んだ犯人が猫(サテライト)の中にいるところまで推測できたはずです。
しかし、ヨークが犯人と明らかになるまでステラがそのように認識している素振りは見られず、時系列が合わないとヨークは困惑しています。
時系列が合わないトリックとしては、配信がビデオメッセージの再生ではなく実はヴァーチャル世界からの生配信(ステラの脳は生きているため)(
1109話考察)だったとすれば一応説明はできます。しかし、ヨークはステラが事前に自身の裏切りと政府の動きを知っていたとすれば、もっと周到な準備をしていたと考え、
配信電伝虫は”鉄の巨人”が守っていると推測するのでした。
これまでの描写からは、
”鉄の巨人”はニカルフィの”解放のドラム”に応答して起動したように見えるのですが、ヨークの仮説が正しいのであれば、ステラはそこまで読んでいたのでしょうか。それとも、”解放のドラム”に応答しているというのはミスリードで、燃料は「マザーフレイム」が充填されており、ステラの生命反応が消えると完全に起動するようにプログラムされていたのかもしれません。
また、ヨークの仮説が正しいのであれば、
嘘の演技が出来ないステラが事前に予測できた事態に、何も知らなかったようなリアクションを取るためには、一旦、それらの記憶を失う必要があります。
ベガパンクは、くまを実験体とした”自我の喪失”の研究(
1101話)において記憶を消去する方法を研究しており、実際、くまの人生の記憶はくまの体から隔離されて保管されていました(1072話)。
1072話
つまり、ステラは事前に知り得た情報から自身の死を察知して、世界配信の周到な準備を行い、ヨークの裏切りに関する情報(サテライトの中で同期を切っていた形跡があったヨークが最も疑われた?)は記憶から隔離していたと考えられます。
配信のベガパンクは最後に、”空白の100年”の謎を全て知った者達が海賊王の一団であると断言します。ロード・ポーネグリフが導く先がラフテルであることまでは推測できたのでしょう。ベガパンクは、
ラフテルに到達すれば世界の秘密が明かされるのだと世界に発信したわけです。
やっていることはロジャーの死に際の言葉に似ていますが、
ロジャーが仕掛けた興が削がれてしまうために、元ロジャー海賊団の
レイリーは、喋りすぎだとベガパンクを老害認定していますw
レイリー:喋りすぎだベガパンク
ーーじじいがペラペラと…
若者から奪い取るなバカモノめ……!!
なァ ロジャー ”楽しみ”をよ…
ベガパンクの話がこの後もまだ続くのであれば、世界の真実を知ったロジャー海賊団が「なぜ動かなかったのか」という疑問から導き出される仮説が語られると思われますが、そのあたりで、ようやく五老星達に配信電伝虫が破壊される流れでしょうか。
読者の楽しみも奪っちゃいけませんからね。