・ヤーさん登場
ルフィと
ゾロ、
ナミ、
ロードは、
ロキを拘束している錠の鍵を探して、アウルスト城を探索していたところ(
1136話〜)、突如、手斧が飛んできました。
そこに現れたのは、エルバフでは”
ヤーさん”と呼ばれている人間族の男でした。
彼は
リプリーの内縁の夫(
1135話)で、
コロンの父親です。
エルバフには20年以上在住しており、コロンは20歳、リプリーは80歳だそうです。
その容姿から、エルバフ編にてこれまでシルエットで描かれていた人物(
1124話、
1132話)と同一であり、かつ、扉絵連載「世界の甲板から」Vol.16(631話)にて、双子岬で
クロッカスと親しげに酒を飲み交わして人物と同一と見て間違いなさそうです。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/69109cc0812f8a666099a5b060e3e0e0/1366030919)
631話
コロン曰く、父親は「エルバフの戦士にも負けない元海賊」ということでしたが、その正体は、ロジャー海賊団で、”
海賊王の左腕”と称された
スコッパー・ギャバンでした。
クロッカスと親しいのも当然で、初出から約14年越しの伏線回収です(笑)。
シャンクスがエルバフで会った「互いに死んだと思ってた
旧友」(
1076話)は、ギャバンのことで間違いなさそうです。
ギャバンは随分前から名前が判明していたロジャー海賊団の数少ない船員の一人で(長い黒髪を後ろで束ねている丸サングラスの男)、
武器は両手に手斧を構えています(966話)。
ギャバンはロジャー、レイリーと肩並べる実力者で、ロジャー海賊団はこの3人が突出して強かったという話です。また、ギャバンの強さを物語る逸話として、ロジャーの療養で山奥の病院にギャバンとロジャーが二人きりの時に、敵の数百人の海賊達に取り囲まれたものの、ギャバンが斧2本で返り討ちにし、戦い跡、山には1本の木もない状態になっていたという話があるそうです。
どんだけ斧で斬り倒したんだっていう話ですが、その伝説から、ギャバンの異名は”
山喰らい”となり、エルバフでの通称「ヤーさん」はこの異名に由来している模様です。
なお、冒険記「ブラッグメン」の著者であるルイ・アーノートは、エルバフについて「
この地に長居してはならない」と記述していますが(
1132話)、ギャバンはもう20年以上、エルバフに在住しているわけでして、ルフィ達にも何か影響が出ている様子は今のところ見当たりません。
ギャバンは神の騎士団の異様な覇気を感じ取って城に来ており、結果的に、会いたいと思っていたルフィに会えたようです。シャンクスやクロッカスからルフィの話は聞いていることでしょう。
ルフィがロキの錠の鍵を探していると知ると、ギャバンは「最悪の事態が起きた時 お前はどうする?」とルフィに尋ねます。ルフィが「ぶっ飛ばして もう一回鎖につなぐよ」と答えると、ギャバンは、
ロキを過去に捕らえたのはシャンクスただ一人(
1136話)であると忠告します。
しかし、忠告を無視して進むルフィに、ロジャーの姿を重ねたギャバンは、王の間の奥にある隠し部屋に案内し、鍵の在処を教えるのでした。ただし、ただでは渡さず、自身から奪ってみせろと、ルフィの実力を測ろうとしている様子です。ギャバンより弱ければ、ロキを止められるはずもないですからね。
・バッカニア
コロンは
巨人族と人間族のハーフとであるわけですが、これまでに種族間のハーフやクオーターは登場していました。
本話の
ギャバンの会話の中で、混血の種族の例がいくつか挙がっています。
「
バッカニア」
「
ドスンダダ」
「
手足首長」
「
魚巨人(ウォータン)」
「
ウォータン」は本編に登場しており、魚人族と巨人族の混血です。
「
手足首長」はその名前の通り、手長族と足長族と首長族の混血なのでしょう。
「
ドスンダダ」は名前からはさっぱり分かりません。
興味深いのは「
バッカニア」が
混血の種族だということです。
くまは「
かつて世界に対して大罪を犯した一族」とされる
絶滅種”バッカニア族”のハーフだと判明していますが(
1095話)、バッカニア族それ自体が混血だと言うのです。
サターンは くま について「
失われた種族の血を引く者」と言及しており(
1104話)、バッカニアがワンピース世界に現存する種族間の混血とは考えにくく、それこそ、
絶滅した種族の混血と考えられます。
また、バッカニアは「
巨人族の血」を引いているという話も出ており(
1095話)、それが本当なら、バッカニアは
巨人族と「絶滅種」の混血だと考えられます。
この「絶滅種」は、万国(トットランド)に存在しない3種族(ルナーリア族と巨人族ともう1種族)のうち、ビッグ・マムが「歴史の彼方に消えちまったかも知れねェが」と言及していた種族(951話)だと考えられ、
ワンピース世界の歴史上、絶滅した種族はこの1種のみと見られます。
くま はサターンが付けた「完全停止スイッチ」により本来”植物状態”になるところ、ボニーのいるエッグヘッドにやって来ており、科学では説明でいない事象が起きていました(1104話)。これについて、
ベガパンクは
バッカニアの伝説について思考を巡らせていました(
1104話)。
ベガパンク:(やはり本当なのか………?)
(バッカニア族の特性は身体の強さではない…彼らはかつて…)
このバッカニアの伝説については明らかになっていません。
そしてバッカニアの特性は、巨人族に由来する身体の強さと、「絶滅種」に由来する”
何か”だと考えられます。
「絶滅種」は世界政府にとって「
不都合」(
1104話)な種族であり、その特性である”
何か”が世界政府の思想に反するのかもしれません。
「太陽の神ニカ」は
太古の奴隷たちがいつか自分達を救ってくれると信じていた伝説の戦士であり(
1018話)、バッカニアは代々、ニカを信仰していたことが分かっています(
1095話)。同じくニカ信仰がある魚人族同様に、バッカニアは太古から奴隷の身分であったと考えられます。
「
かつて世界に対して大罪を犯した一族」(
1095話)という歴史については、世界政府による歴史改竄の可能性があるものの、
前回のエルバフに伝わる「
神典(ハーレイ)」の
「第一世界」の「隷人」にバッカニアを当てはめてみると、なかなか興味深いです。
「第一世界」
地に炎あり
人は欲望に負け
禁断の太陽に触れた
隷人は願い
”太陽の神”は現れた
地の神は怒り
業炎の蛇と共に
世界を死と闇で包んだ
彼らはもう会えないのだ
奴隷のバッカニアが「解放の戦士ニカ」による救済を願うと、本当に「ニカ」が現れた、と。
そして、これに「地の神」が怒り、「業炎の蛇と共に世界を死と闇で包んだ」と。
この結末が「
世界に対して大罪を犯した」ということに当てはまるのかもしれません。
完全に他責ですけども。
であれば、「絶滅種」の特性は
願いを具現化する力か何かですか?
ベガパンクは
悪魔の実の存在について、悪魔の実とは「
誰かが望んだ「人の進化」の”可能性”である」、能力者とは「
誰かが思い描いたいくつもの異次元を生きる者達」であると仮説を述べています(
1069話)。
面白いのは、これに続けてベガパンクが「
神がいるかいないかなど考えるまでもない」と語っていることです。ワンピース世界においては、
人が空想した神や幻獣ですら”能力者”として実在することになるからです(
1069話の考察)。
そして、
このベガパンクの悪魔の実に関する仮説は、上記の「ハーレイ」の「第一世界」の記述に基づいているのではないでしょうか。
つまり、「隷人」が願ったことで「太陽の神」の”
能力者”が生まれたということです。
「絶滅種」はこの
願う力が特別に強かったのかもしれません。
その特性を受け継ぐ
くまは”
ボニーを守りたい”という強い願いが働き、意識がない”植物状態”になっても体を動かしたのではないかと、ベガパンクは考えたのかもしれません。
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