ウイルス対策のノートンセキュリティソフトでお馴染みのシマンテック社のブログで、海外の漫画ファンが日本語の漫画を翻訳し、違法にネット上に公開する行為「
スキャンレーション」の現状について書いている記事があったのでご紹介。ワンピース成分は大変薄いです。
※ウイルス対策がメインの記事なので、その辺りは適当に割愛しています。
漫画のスキャンレーションサービスが悪質な活動の格好の標的に
日本のアニメーションは「アニメ(Anime)」として、漫画は「マンガ(Manga)」として知られており、過去 20 年間で漫画アニメ産業は世界中で人気を博するようになりました。そうした最新の流行を利用するのが、ひと儲けする方法として手っ取り早いことはよく知られており、合法的にも非合法的にもその手法は広く利用されています。アニメと漫画の流行も、マルバタイジング(悪質な広告)やモバイルリスクなどを通じてサイバー犯罪者が無防備なファンにマルウェアの脅威をもたらす新たな手口を生み出しています。
1990 年代に、日本の漫画は米国の市場で大ブームとなり、大手書店の本棚にも並ぶようになりました。
日本語のわからないファンが読むためには、漫画の翻訳を待たねばなりません。公式に翻訳される漫画の数は増えていますが、ファンを満足させるにはまだまだ足りないようです。しかも、翻訳対象になるのは人気の高い作品に限られています。
漫画産業が直面している問題のひとつが、日本語を母語としないファンに評価される作品をどう選ぶかということです。
その判断基準として、読者コミュニティが非常に有効であることが判明しています。読者コミュニティのなかには、日本の漫画をスキャンして翻訳版を制作するグループも存在し、そのような行為は
スキャンレーション(Scanlation)または
スキャンスレーション(Scanslation)と呼ばれています。
公式の出版社はそうした読者コミュニティに注目し、その動きに合わせて事業の方向性を決めていましたが、それが裏目に出てしまいました。90 年代の終わりにはインターネットにアクセスするユーザーが急増し、巨大なスキャンレーションサイトがオンラインで無料の漫画を提供するようになったため、日本の漫画アニメ産業は顧客を失い始めたのです。
この数年間に、スキャンレーションサービスを展開する複数の Web サイトやコミュニティが、著作権者の許可を得ていないため著作権違反であるとして訴えられています。
スキャンレーションには多くの作業が必要であり、そのチームには以下のようなメンバーが存在します。
翻訳者
クリーナー
校正者
植字工
リライター
チームのメンバーはほとんどが自主的に参加しているため、新しい作品を定期的に出版し続けるには、何らかの収益化が必要であり、また広告も無視できない収入源となります。
こうしたサイトでは、1 章分のページに平均 10 個の広告が表示され、場合によっては 11 の広告プロバイダが利用されています。マルバタイジングや悪用ツールキットについて実施した最近の調査でも、多くのスキャンレーションサイトが、マルバタイジングや悪用コードによって悪質なリダイレクト先にリンクされていることが確認されました。
最近のマルバタイジングの場合、悪質なコードに直接感染していたのはスキャンレーションサイトではなく、広告プロバイダでした。この場合、スキャンレーションサイトのユーザーを標的とした広告が多用されるため、スキャンレーションサイトのユーザーも被害を受けます。
スマートフォンやタブレットが人々の生活にとって欠かせないものになる一方で、紙の本や PC の利用度は少なくなってきました。大部分の Web サイトでは、モバイルアクセスが容易になるように、モバイル向けのコンテンツも公開されています。
シマンテックは、モバイルのブラウズテストを実施し、最近公開された漫画のページをランダムに読み込んだとき、読者がどのようにリダイレクトされるのかを調べました。その結果、次のページに移動しようとすると強制リダイレクトが発生する場合もあることがわかりました。
さまざまなスキャンレーションサイトから漫画を収集するモバイルアプリが大量に出回り始めています。こうしたアプリは、オンラインでもオフラインでも 10,000 冊以上の漫画を複数の言語で楽しめると謳っています。ダウンロード率もインストール率も高いことから、このようなアプリは悪質な便乗攻撃や、トロイの木馬による攻撃の格好の標的です。たとえば、漫画購読サービスを謳いながら、実際はプレミアム SMS を利用させるアプリがサードパーティのマーケットで配布されていることも確認されています。
2013年7月から 2014年1月にかけて、
このようなスキャンレーションサイトで収集された検出データには定期的に急上昇が見られます。これが『NARUTO -ナルト-』、『BLEACH』、『ONE PIECE』、『FAIRY TAIL』、『キングダム』といった人気漫画の新刊が公開されたタイミングであることは明らかです。
スキャンレーションサイトで確認されたマルバタイジングの分布図を見ると、
読者率が最も高いのは米国であり、
ヨーロッパ、
オーストラリアがそれに続いていることがわかります。
漫画の読者は中東やブラジルにも広がっており、スキャンレーショングループは現在、漫画を 6 言語(英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、フランス語)に翻訳しているようです。
・スキャンレーションサイトでの IPS 検出状況とマルバタイジング(2013年7月から 2014 年1月)
出版されている漫画の数は膨大ですが、新刊漫画のうち圧倒的多数は日本語を理解できなければ読むことができず、そうでなければ公式の翻訳を待つしかありません。
新人の漫画家は、ファンの人気を獲得したいあまり、スキャンレーションサービスを許す、あるいは見て見ぬふりをする傾向があります。そのため、スキャンレーションサービスは本質的に法律上の問題や著作権侵害をないがしろにしがちです。そして、スキャンレーションサービスの人気が高くなるほど、サイバー犯罪者の注目も集めるようになっています。
ソフトウェアは脆弱性の悪用を防ぐために、常に最新の状態に保つことをお勧めします。また、アプリケーションは信頼できるアプリストアだけからインストールするようにしてください。
(
シマンテック公式ブログ)
出版社の翻訳を待たないといけないからというのは、もはや詭弁です。
というのも、スキャンレーションで人気だという『ナルト』、『ブリーチ』、『ワンピース』のジャンプ3作品は現在、北米版の週刊少年ジャンプで日本と同日に最新話の英語版を読むことができるからです。しかも、北米版ジャンプは電子版なので北米在住であれば、地域を問わず手に入れることができます。
役目が終わったはずのこれらジャンプ作品の英語翻訳をなぜスキャンレーショングループがわざわざ未だに行っているかといえば、答えは簡単。広告収入ですね。スキャンレーションを続けるための手段が目的に変わってしまったようです。そもそも、趣味で自主的にやっているなら金なんて集める必要はないですし、訴えられるのもご尤もなほど思いっきり著作権を違反しているのですから収入を得るべきではないです。やっていることはアフィ稼ぎをしている日本のネタバレブログと何ら変わりないのでした。