劇場版最新作 『ONE PIECE FILM Z』の脚本を担当する
鈴木おさむさんが自身のブログで、ワンピースを「特に好きな理由」として語っている内容がなるほどな~と共感できるものでしたのでご紹介。
僕がワンピースを特に好きな理由の一個でもあるんだけど、
ルフィより強いやつが何人もいる所です。
一人、二人じゃない!
他の漫画とかだとよくあるのが、主人公が一回負けて、その相手に勝つ!強くなる!
だけど、ルフィは違う!
負けて強くなるけど・・・・そんなルフィ以上に、まだ強いであろう人達がいる所。
常にトップじゃない。
そこがいいんだよな~!
トップじゃない!
だけど、トップになってほしい!と思える。
ルフィに倒して欲しい強い敵が沢山いる。
そこ、好きなんだよな~!
だから、映画の脚本を作る時にも、
尾田さんにその事も質問しましたし、そこをかなり意識して書いた気がします。
(放送作家 鈴木おさむのネタ帳 2012年5月5日より)
書かれてはいませんが、「ドラゴンボール」が典型的な対照として意識しているはずです。
悟空は最強の敵を倒すたびに、ドラゴンボールの世界で一番強いNo.1となり、その後、
より強い敵が新たに登場するという構成です。その章のボスがその時点で最も強い敵であり、
次に登場するボスは必ずの前のボスより強いため、必然と戦闘力のインフレが進んでいくわけです。しかも、そのボスたちは地球征服や世界滅亡を企んでいる連中なので否応なしにボスを倒すべくストーリーは展開します。
対してワンピースは
次に登場するボスは前のボスより必ずしも強いとは限りませんし、主人公より強いとも限りません。というか、
実力の優劣が”曖昧”になっています。懸賞金額はある程度実力を示しますが、悪名や政府に対する危険度が反映されているため、懸賞金額で実力を比較できるような単純なものではありません。水中戦のために戦闘力を測りそこなわれ、真の実力が懸賞金額に反映しなかったアーロンは最たるものです。しかも、安易に懸賞金額を明らかにしないことで、巧みに”
曖昧さ”が保たれているわけです。
力及ばない敵には”まだ時ではない”と逃げ”時を待つ”こともでき、強力な仲間と共闘することも、弱点をついて倒すこともある。主人公ルフィの実力は曖昧ながらも着実に強くなっており、より強い敵は依然としてわんさかいる。こうした敵の幅がストーリーに幅を持たせ、ラスボスありきでワンパターンにストーリーが展開するかつてのジャンプ王道漫画と一線を画する点なのだと思います・。・
鈴木おさむ公式ブログ
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