・エルバフ王の奉公
前回、38年前のゴッドバレー事件でのロックスの死を受けて、なんとしもエルバフを世界政府に加盟させることを決起した
ハラルドはマリンフォードに乗り込み、”巨人族”がこれまで行ってきた1000年分の過ちの贖罪として”何でもする”と宣言するのでした。
かくして、ハラルドは
海軍の援軍として陰ながら働くことになり、”偉大なる航路”にて通過する海賊船をことごとく粉砕していたようです。ゴッドバレー事件の5年後の時点では、”偉大なる航路”の国々にて「霧の深い海に主に海賊船を襲う魔物が現れる」という噂が広まるほどになっていました。
24年前、「大海賊時代」が幕を開けると、海軍本部は各地の巨人族十数名を軍に採用して戦力の強化を図ります。
一方、これまで10年以上、海軍の援軍として従順に務めたハラルドはようやくマリージョアへの昇階を許可され、神の騎士団の懐刀である”
従刃”(1160話)の地位が与えられています。
そして、もしハラルドがさらに上の地位(=”
騎士”)になる日が来れば、エルバフの世界政府加盟が認められると言い渡され、ハラルドは悲願達成の道筋が見えたことでますます世界政府への忠誠を高めるのでした。
イムの計画を知らされていない
ガーリングらはハラルドが”従刃”になったことにやや困惑している様子ですが、ガーリングは用があったら呼ぶとして、ハラルドが下界で自由にしていいと言い渡しています。
ただし、「ここでの事は何も喋るな」と条件を付けていますので、ハラルドが偶にマリージョアに行く用事については、周りの人たちは詳しくは知らなかったようです。
20年前の回想では、リュウグウ王国の城でハラルドは
ネプチューンと楽しげに酒を飲んでおり、以前から親交があった様子です。この時に、ネプチューンは娘が生まれたら、ロキの許嫁にしようとまで言っています。
・シャンクス聖
15年前、
フィッシャー・タイガーによる「聖地マリージョア襲撃事件」が発生。”従刃”のハラルドはマリージョアに呼び出されており、この時に天竜人として暮らしていた頃の
シャンクス(当時24歳)と出会っています。
シャンクスはシャムロックの生き別れの弟としてフィガーランド家に迎えられており、
この時点で、まだマリージョアに来て間もないようで、ひとまず”
従刃”の地位が与えられています。
14年前の時点でシャンクスは下界に戻っていますから(
1152話)、
マリージョアの生活は1年に満たなかったと見られます。
ハラルドはシャンクスに会ったことがあるような気がすると感じており、これはシャムロックにも初め感じたそうです。ハラルドがシャムロックと正式に会ったのは24年前ですから、それよりも前にシャムロックまたはシャンクスとハラルドが出会っている可能性があるとすれば、ロジャー海賊団の見習いだったシャンクスでしょう。
これについてシャンクスは「知らねェよ」と一蹴し、下界の人間を見下すような態度を取っています。さらに下界での生活について「全てが嫌いだった!!!」とシャムロックに愚痴っています。
マリージョアでシャンクスが性分に合わない態度で振る舞っているのは、フィガーランド家に馴染むためだと思われ、その目的は敵情視察といったところでしょうか。
ところで、
シャンクスが元は天竜人だと自覚した経緯は不明です。
シャンクスが天竜人であると気付くためには、シャンクスと瓜二つのシャムロックの存在と、2人が生き別れになった双子である事実を認知する必要があります。この条件を満たしているのはフィガーランド家をはじめとした天竜人に他なりません。
したがって、
シャンクスが海賊として名を上げたことにより、フィガーランド家がシャンクスの存在に真っ先に気づき、シャンクスに接触したと考えるのが妥当です。
フィガーランド家がシャンクスに初めて接触した際に、シャンクスが即座にマリージョアに行ったとは考えにくいですから、マリージョアに行くことを決心する何かきっかけとなるような出来事があったのではないかと類推されます。
そこで注目するのが、マリージョアに登場したシャンクスの
額と左目には包帯が巻かれておりケガをしていることです。
シャンクスの左目の傷は
ティーチに負わされたものですが、仮にこのケガがティーチによって受けたものであれば、シャンクスがマリージョアに来る動機をティーチが与えたようにも見えてきます。
「聖地マリージョア襲撃事件」については、政府側の誰かが武器庫を開けて襲撃を支援したことが疑われており、神の騎士団はその犯人探しを行っているところでした。
シャンクスはその犯人を捕らえて手柄を立てたいとやる気を見せていますが、
その犯人はどうやらシャンクス当人である模様です。
というのも、事件当日に脱走したタイガーの前に現れ、タイガーの首輪を剣で斬って解放した
犯人のシルエットがシャンクスそのものだからです。武器はサーベルですし、髪型もそうですし(この時のシャムロックはシャンクスより髪が長いので見かけ可能)、左目に包帯を巻いているように見え、接触した際にタイガーがその包帯をむしり取ったような描写もあります。
脱走したタイガーと接触する前から武器庫の鍵は開けており、
場当たり的にタイガーを手助けしたわけではなく、計画的な行動であることが窺えます。何だったら襲撃事件自体をシャンクスが仕掛けたようにも見えてきます。
マリージョアの様子を見て計画を思い付いたのか、奴隷解放を計画してマリージョアに来たのかは定かではありません。
また、14年前のシャンクスの話では、ハラルドとは「
マリージョアで会って…少し仲良くしてた」(
1152話)ということですが、初対面の段階では全くそんな感じはないですね。ともかく、続けて「
聖地じゃ話せねェ事もあって、この国に帰ってるんなら会って話したい 手遅れになる前に」(
1152話)と言っており、どうやらフィガーランド家の信頼を得たシャンクスは、ハラルドに取り巻く陰謀について何か察知したのだと思われます。
・神と13人の悪魔
ハラルドに”神の従刃”の地位が与えられた際、五老星
マーキュリーが”契約”について説明しています。”結(ゆい)”だの、”神”だの、ハラルドはさっぱり分からない様子です。
これは
イムが五老星や神の騎士団に力を与えている能力についての説明のようですが、マーキュリーはイムについて言及していないので、イムの存在を知らないハラルドが分からないのは当然の話です。
イムが他者に力を与える”
契約”には3段階あり、”従刃”は最も効力が弱い「
浅海契約」が結ばれるようです。
そして、「
深海契約」と「
深々海契約」は
13人としか結べない能力の制限があるそうです。
おそらく、神の騎士団は「深海契約」、五老星は「深々海契約」を結んでいるのでしょう。
「深海契約」と「深々海契約」の契約者をマーキュリーは「本物の”神”との契約者」と称しており、神の騎士団と五老星の不可思議な力や現象は、この”契約”により説明されるものと考えられます。
「浅海契約」の効力は不明ですが、ガーリングは下界にいるハラルドを呼び出すために長距離用の”電伝虫”を持っていろとハラルドに言っていることから、”従刃”は「五芒星(アビス)」による移動やテレパシーは出来ないようで、不死身もどきの能力もないと考えられます。
そうなると「浅海契約」の効力には際立ったものはなく、少しフィジカルが強くなる程度のことなのでしょうか。「深海契約」と「深々海契約」の効力の主な違いは
不老と見られます。
しかし、ゴッドバレー事件の時から神の騎士団の
ガーリングと
ソマーズはしっかり歳を取っていますが、当時、”従刃”だった
軍子はガーリング達と同じ様に歳をとったようには見えないですよね。
また、ゴッドバレー事件の際に登場した神の騎士団は
7人描かれており(
1160話)、五老星の
5人を加えると計12人で、38年前の時点ではあと1人分の契約スロットが余っているように見えます。
ともかく、13人という数字や契約により力が与えられる様子からは、やはり「
悪魔」が連想され、イムの能力は悪魔にちなんだものだと見られます。幻獣種モデル「サタン」とかが分かりやすいですが、どうなんでしょう。
・イーダ
15年前のハラルド不在のエルバフでは、
イーダが病床に伏していました。
エルバフの医学では治す手立てがなく、日に日に弱っているとのことですが、この原因は実はイーダがハラルドの正妻になることを嫌う元王妃エストリッダの一族が「
麦角菌(ばっかくきん)」という毒をイーダに盛ったからでした。
「麦角菌」は実際に存在する菌ですが、感染するのは植物です。イーダに盛られた「麦角菌」は感染すると確実に死に至るそうで、その事実を毒を盛った張本人から聞いた
ロキは怒りでその一族が住む「酒村」ごと滅ぼしたようです。
ロキはイーダには憎まれ口を叩いているものの、慕っている様子は周りの目からも明らかで、心中ではイーダこそが母親だと思っていたのでした。
