新作のバトル漫画を集めた週刊少年ジャンプ編集部の新増刊「
ジャンプVS―バーサス―」(3月22日発売)。読み切り全12作品が全てバトル漫画となっており、表紙を飾ったのは「ナルト」と「トリコ」。本誌には、現ジャンプの王道バトル漫画である同作品の作者、
岸本斉史先生と
島袋光年先生の特別対談が掲載されています。
内容は新人漫画家に向けて「王道少年漫画とは何か」をテーマに、キャラ作りやストーリー構成などについての考え方や経験談を両氏が語っており、大変興味深いです。同じくジャンプの看板を張る王道漫画「
ONE PIECE」についても、ちょこっと言及されているので、ここではその辺りを中心に抜粋でご紹介。
――早速ですが、お二人が考える「王道少年漫画」とは、どういったものでしょうか?
岸本: まずは、何をもって「王道」と言うのかって所だよね。オレが『NARUTO―ナルト―(以下、ナルト)』の連載を始めたころは、あまり王道とは思われていなかったと思うけど。
島袋: 『トリコ』も王道ではないと思うけど(笑)。王道と言えば、『ドラゴンボール(以下、DB)』かな?
編集S: どのへんが違うのでしょう?
岸本: 『DB』はあまりドラマを描かないよね。少年漫画の王道というより、少年バトル漫画の王道なのかも。
編集O: ドラマというのは、キャラクターの過去や心情を掘り下げるような「人間ドラマ」のことですか?
岸本: そうだね。『DB』は過去をあまり振り返らないで、どんどん前に進む。『トリコ』も最初、『DB』と同じ方向性だと思ってた。
島袋: 『DB』みたいなものを描きたいって思って、『トリコ』を描き始めたからね(笑)
編集S: でも、『ONE PIECE(以下、OP)』は、人間ドラマをたっぷり描きますよね?
岸本: 『ナルト』もドラマを良く入れるけど、『トリコ』はドラマをそれほど強く押してなくて、とてつもなく巨大な怪物が出てきたりとか、ものすごく怖い敵が出てきたりとか、いわゆる「ハッタリ」が効いてる。そういう意味で『トリコ』は、『DB』に近いと思う。
編集S: 「王道」がもっとも人気のあるジャンルのことだとすると、週刊少年ジャンプは「バトル漫画」そのものが「王道」とも言えそうです。また、『OP』『ナルト』のような「人間ドラマ」を描くものと、『DB』『トリコ』のような、驚かせる演出に重きを置くもの。王道にも二種類があると言えそうですね。