11月25日で千秋楽を迎えたスーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』の東京・新橋演舞場公演。今回の「初めてのスーパー歌舞伎編」と次回の「
ストーリー解説編」の2本立てで体験レポートを書く予定です。攻略については東京公演が終わって今更感はありますが、来年3月に大阪松竹座公演、4月に博多座公演が控えていますので、参考にしていただければ幸いです。
初めてのスーパー歌舞伎というか歌舞伎自体初めての私が行ったのは11月公演の昼の部。11時開演なのですが、何時から開場なのかよく分からず、チケット売り場が開くという10時に劇場に訪れたところ、まだ劇場は開いていませんでした。
開場は開演の30分前ぐらいみたいです。
開場を待つ間、弁当販売は外の屋台でやっていたので弁当を買って、チケット引き換え機でチケットを発行して、チケット売り場で
筋書き(プログラム)を買って読んでました。歌舞伎のパンフレットにあたる筋書きの価格は1,800円と少し高めですが、グラビア満載で舞台写真も掲載しているので絶対に買いです。筋書きは劇場内でも売っています。
開場すると、まずはグッズ購入ですね。複製原画でも買おうかな、と思いきや、舞台写真の役者の
生ブロマイドが売っていることを知り、完全に気持ちがそちらにもっていかれました。購入希望の番号と枚数を書く用紙を持って、どれを買おうかと悩んでいたら、あっという間に開演の時間になっていました。何せ170種ぐらいありましたから(※舞台写真の販売所は撮影禁止のため写真はなし)。同じ役者の写真でも、表情が良い1枚やポーズが決まった写真がやはり人気みたいです。公演単位で準備数に限りがあり、そういった写真から売り切れになっていました。しかも幕間に様子を見ると、人気の写真は「只今取り寄せ中」となっていましたので、生ブロマイドを買う場合は開場したらすぐに販売所に向った方がいいでしょう。
写真は来年発売予定の
P.O.P 歌舞伎ルフィ。写真撮影が順番待ちになっていたため、1枚撮るのがやっとで、じっくり見ることはできませんでした。発売が楽しみです。
開演5分前のアナウンスがあったので、自分の席へ。舞台ではルフィの立像がお待ちかね。私の席は1階後方の1等席です。周りを見渡してみると、客層はざっと見て3分の2程度が普段から歌舞伎を観劇しているような年配の方々、残りの3分の1程度がワンピースファンと思われる家族連れと若者でしょうか。お土産を選んでいる時に、30代ぐらいの人が「原作は結局読まなかった」と言っているのを聞いたので、ワンピースきっかけで観に来た人は実際はもっと少ないのかもしれません。
私はあまり良い席を取れなかったのですが(一応1等席ですが)、観終わってみて、席は結局どこが良かっただろうかと言えば、おそらく1階は前方から
5列目〜15列目ぐらいまで、花道より右側で
7番から36番ぐらいが良席かと思います。さらに言えば、
通路側の12番、13番、24番、36番は最良席と言えそうです。今回の記事ではあまりネタバレをしたくないのですが、これらの席では劇中に役者と触れ合う事が出来ます。私のような後方の席では、2階席が邪魔して第2幕の宙乗りがほぼ見えません。また、最前列の方はおそらく松竹会員の方が取る席だと思われますが、このあたりの席はシャチショー並みに水でびしょ濡れになりますし、花道に役者がいる時や宙乗りの時は首が痛くなるでしょうから、初めて観る方に奨められる席ではないです。
2階席は上がってみなかったので、どうなっているかよく分からないのですが、下から見た感じは
中央最前列はなかなかの良席かと思われます。例の第2幕の宙乗りの場面では猿之助ルフィが目の前まで来るっぽいですからね(私は見えなかったのですが)。また観る機会がもしあれば、次は2階席で観てみたいな〜と思います。
第1幕終わりの幕間にて。第1幕はシャボンディ諸島編から始まり、バーソロミュー・くまによって麦わらの一味が離散するところまでです。開演前と打って変わって、いかにも歌舞伎って感じの幕が舞台にかかりました。黒、柿色、緑(萌葱)の3色のこの引き幕を定式幕と呼ぶそうですが、黒の布に栄ちゃん描き下ろしの麦わらの一味が描かれているところが、歌舞伎的には
定式外れの定式幕だそうです。この定式幕は後ほど見た目以上に定式外れの使われ方がするのですが、今回の記事ではそれは内緒にしておきましょう。
で、時間はお昼時なので私も昼食を(11時開演で第1幕は12時まで)。新橋演舞場公演限定の
麦わらの一味 海賊弁当!歌舞伎は席での飲食がOKなのです。これが正真正銘の幕の内弁当ってやつですね。ご飯はいまいちでしたが、オカズは美味しかったです。幕間は30分あります。
第2幕終わりの幕間にて。クジラがいます(幕がすぐ閉まらなかったのですが、事故?)。第2幕は女ヶ島編〜インペルダウン編でマリンフォードに向うところまでです。本公演で第2幕が一番盛り上がります。ゆずの北川さん制作の主題歌が本格的に流れるのも第2幕です。もし仮にワンピースが定番の演目になったとすると、歌舞伎的には第2幕までが何度も上演されることになるのではないでしょうか。そんな気がします。また、ルフィのある名台詞の時にちょっとした笑いが起きたりしたのですが、原作を知らない人が多い証拠でしょうね。そういった反応を見るのも、ワンピースファンとしては面白かったりします。
マリンフォード編からの「仲間がいるよ」までの第3幕、そしてエンディング(スーパー歌舞伎にはエンディングがある!)が終了すると時間は15時半。つまり、幕間計1時間を入れて開演から4時間半が経過しています。劇場をそそくさと後にして、写真は歌舞伎座。
ようやく公演の感想になりますが、
超絶、楽しかったです。
スーパー歌舞伎の歌舞伎のバランスは観るまで分からなかったのですが、意外なことに歌舞伎のエッセンスは少なく(衣装と化粧の主張は強いですが)、現代劇の割合が思った以上に多かったように感じます。歌舞伎の表現を進化させたというよりは、歌舞伎と現代劇をミックスしたと言う方が正確かもしれません。普通にBGMが流れていたり、プロジェクションマッピングが使われていたり、派手な戦闘シーンがあったり。立廻りは歌舞伎と比べるともの凄く速いです。歌舞伎の世界では見た目重視の奇抜な演技や演出をくくって"
ケレン"と呼ぶそうですが、スーパー歌舞伎II『ワンピース』はまさにケレン味あふれる演目でした。本演目での歌舞伎純正の"ケレン"は「早変わり」「本水」「宙乗り」です。あと、笑い所も多いです。
"ケレン"がある演目はストーリーを知らなくても、とっつきやすく(『鳴神』という演目が面白かった!)、ワンピースを知らない歌舞伎ファンは"ケレン"の連続で見飽きなかったかと思います。感想を聞いていないので実際にどうかは知りませんが。ちなみに私の場合、歌舞伎について、にわか知識を身につけて有名な演目をいくつかyoutubeで観てから臨んだのですが、そういった準備は観る上では一切必要ありません。ただ、知っているとより楽しめる歌舞伎の表現はあると思います。少なくとも"見得"と"六方"ぐらいは知っておいて欲しいところです。
以下、戦利品紹介。
<戦利品その1>
筋書き(プログラム)。著名な役者が公演への意気込みを語っていますが、年配の役者の大半はワンピースを存じませんでした、というのがお決まりの始まりパターンです。読み物としてはあまり面白くありませんが、とにかくグラビア満載です。栄ちゃんのメッセージも載ってます。
<戦利品その2>
公演チラシ。チケット売り場あたりに置いてあります。裏面は麦わら一味のキービジュアル。
<戦利品その3>
弁当の包み紙(ゴミ)。歌舞伎っぽい模様(定式幕)が良いので捨てずに持ち帰りました。
<戦利品その4>
舞台写真。コスプレ感が全くない白ひげがやっぱりいいですね。ルフィは何種類もあったのですが、衣装がダサすぎて、あまり売れてないんじゃないでしょうか。1枚500円です(たけぇ
<戦利品その5>
申し訳程度に普通のグッズ。フェイスパック(1200円)と生ブロマイド(3枚入り600円)です。舞台写真の生ブロマイドがある手前、何が生なのか謎です。
劇場で売られているグッズのほとんどは栄ちゃんが描き下ろしたイラストが使用されています。松竹で東映アニメが著作権を持っているワンピースの演目が上演されるのはすごいことだ、なんて思っている通の人がいるかもしれませんが、スーパー歌舞伎II『ワンピース』の著作権者に東映アニメとフジテレビは入っていないんですね。大人の事情で?東映アニメが排除されたおかげで、グッズは原作絵が採用されたわけです。あと、劇場限定で主題歌のCDが売られていました。
フェイスパックは使うかどうかは置いといて、厚紙の包装紙(A3サイズ)には栄ちゃんがワンピース歌舞伎のために描き下ろしたイラストが全点プリントされています。内側にはびっちりプリントされており、無印良品のクリアプレートなんかで飾れば見栄え良く飾れそうです。購入予定だった複製原画を買いませんでしたが、もうこれで十分です(ぇ