榎並大二郎(フジテレビアナウンサー):まず最初なんですけども尾田先生、私は何とお呼びすればいいのでしょうか?
尾田:先生以外でお願いします
榎並:先生以外で、「さん」づけでもよろしいですか?では、尾田さんと呼ばせていただきます。
ーーどうして『ONE PIECE』という作品を描こうと思ったんでしょうか?
尾田:『小さなバイキングビッケ』っていうアニメがありまして、それが好きで、覚えているシーンとしては「明日 僕は父さんたちと航海に出るんだ」っていうシーンが多分どっかにあるのか、僕が思ってしまったか、あると思うんですよね。で、そのシーンにすごく憧れてたんですよね。で、その通りに海賊漫画を描いて、イメージがどんどん膨らむもので、これは連載しようと、中学ぐらいに思って取っといたネタなんですけども。
ーー中学から温めて?
尾田:温めてって程ではないですけど、まぁ海賊ものは描こうと思っていた。
ーーそういった意味では構想何年?
尾田:大げさに言えば、そう取ってもらった方が壮大なんですけど、実際は漫画の描き方を覚え始めたのが17ぐらいだと思うんですよね。担当さんが、編集者に付いてもらって初めて漫画ってこうやって描くんだっていうのを知って、そこから勉強を始めたので、実質スタートはそこだから、何も分かってなかった頃の妄想ですよね。
ーー実際、構想を始めたときからラストは決まってる?
尾田:はい、決まってます。
ーーそれが19年突き通している?
尾田:決まってるんですけど、僕の最初の構想では5年あれば完結すると思ってたんですね。全てのストーリーが。それが終わらずに続いているだけなんで・・・壮大な間延びをしている(笑)。思いついちゃったら描くしかないんですよ。今週(読者を)楽しませなきゃいけないじゃないですか。そしたら、面白いことを思いついたのに描かないのは(読者に)失礼。本気出してないんじゃないかと。だから予定通り描いていくわけにもいかず、どんどん膨らんでいくんです。その結果がこれだと思ってください。
ーー今、何割ぐらいまでいっているのでしょうか?(81巻の段階で)
尾田:すごくよく聞かれます。え〜・・・な、7割(苦笑)。
ーーちなみに、最後の1ページをどういうのにするか決めてらっしゃる?
尾田:面白いですよ〜
ーー19年という長い年月で価値観が変わり、作品に影響することは?
尾田:影響はしても変わらないラストなんですよ。運良く、ラストはブレたことはないですね。
ーー世界中で愛されている『ONE PIECE』ですけども、どうしてここまで愛される漫画になったと思われますか?
尾田:わからないですね。これは運が良かったとしか言えないですけども、1番デカかったのは何年前だったか、『STRONG WORLD』という映画をやった時、あの時、意味の分からない爆発力が起きたんですね。色んな奇跡が重なって、それがないと今のギネス(※累計発行部数記録)なんて絶対到達してないし、映画自体も奇跡の連続だから、運です。
ーー『ONE PIECE FILM GOLD』の完成度は?
尾田:最高でしたね。すごく良い映画ができました。
ーー最高という言葉が出るのはこれまでで最も良いという意味で?
尾田:最も良いという声も多く…それは好みの問題もあるでしょうけど、そこを目指してますから、当然最も良いと言えると思います。映画はホント奇跡の連続なんですよ。ついこの間、完成して観ましたけど、初号試写を観るまでは裁判所に行くような気持ちで臨んだんです。それぐらいたくさんの人の手が入っているし、その人たちがどういう仕事をしてくれるか予測がつかないので、信じて待つしかないという、ホントに怖いです。それを奇跡的にクリアしているだけであって、いつ失敗するんだろうとホント怖いんですよ。でも今回は良かったなって思いました。
ーーレイズ・マックス、タナカさん、本当印象的なキャラクターがいっぱい。レイズ・マックスはもっとカッコいいキャラでもおかしくないと思うんですけども
尾田:カッコいいキャラクターをみんな、スタッフは想定していたと思うんですけど、崩してやりました(笑)。でも、あれは僕なりの格好良さなんですけど。本当は初見で観て欲しかったんですよ。結構ファンはあれを設定画かなんかを色んな本で見てると思うんですよね。だから、短足っていうのがバレて・・・あっ!(がっくし)ここで言ってもしょうがないですねw まぁ、でも楽しみにしていただきたいですね。
ーー今回特に注目してもらいたいシーンは?
尾田:シーンとなると、もうノリの良い全てですけども、ジェットコースターに乗った気持ちで、映画館ではただボーッと座っていただいて流されて欲しいと思いますね。それで気持ちいい映画だと思います。
ーー行き詰まってしまうことはありますか?
尾田:ありますね。例えば、ネーミングに行き詰まるとか。それで1日半ぐらい無駄にすることがあるんですよ。納得いく名前がつかないというだけで。あとは単純に次やることが思いつかないという普通の行き詰まりもあるし、まぁ、行き詰まってばっかりですね。そんなサラサラ描けません。
ーーその時の気分転換は?
尾田:気分転換はできないようになるべくスタッフを早めに入れて、アシスタントさんに待ってもらってるんですよね。逃げないように。追い込まないと、どうせ締切は決まっているので、やるしかないですね。
ーー尾田さんの隠しキャラクターのような細かい遊びをファンは見つけていくじゃないですか。実際、全部見つかってるんですか?まだ見つかってないものがあるんですか?
尾田:見つけて欲しいのに見つけてくれないっていうのはありますよ。時々ありますよ。虫のシーンだったかな?・・・読み返せば分かると思うんですが。
ーー時系列だとかそういったものを表にされていたりするんですか?
尾田:ノートですか?僕は落書きノートで構想しますんで
ーー何冊ぐらいですか?
尾田:いや、数えきれないですね。だいたい3週で1冊分ぐらいどんどん潰れていくかな。
ーーそれが19年分?
尾田:そうです。すごい量ですね。やっぱりシリーズ初めとかは2、3冊一気に使うこともあります。
ーー尾田さんにとってワンピースとは?
尾田:子供の頃の僕が納得するためのお話。話を作るんだったら、ちゃんとみんなが最後に納得するものを描こうと思ってやっているのが『ONE PIECE』です。ちゃんと仕上げたいなと思っています。
ーー番組のスペシャルナビゲーターとしてやられている濱田岳さんに是非メッセージを
尾田:ステキな演技をありがとうございました。タナカさんという、どういう、まず生物として何なんだろうっていうキャラクターですから、どういう声なんだろうと思ってたんですけど、あ!こういう声なのかとすごく納得しました。ありがとうございました。