LOGPIECE(ワンピースブログ)〜シャボンディ諸島より配信中〜 感想:ONE PIECE ドラマティックステージ THE METAL ~追憶のマリンフォード~
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横浜市にあるホログラフィック劇場、DMM VR THEATERにて現在上映している「ONE PIECE ドラマティックステージ THE METAL ~追憶のマリンフォード~」を機会があったので観て来ました。その感想です。

【あらすじ】
新世界を航海する麦わらの一味が訪れたのはなんでも1ベリーで物が買える奇妙な島!

トラファルガー・ローとバルトロメオを呼んで宴を開こうとしていた一味の前に突如、海軍中将グレイドルが立ちはだかる!
「メタルフエール!俺はメタメタの実の液体金属人間!変幻自在の液体金属で、無数に分身を作り出せるのだ!」
倒しても倒しても増え続けるメタル人形達が執拗に一味に襲い掛かる!

遡ること2年…
ルフィの義兄、火拳のエースを海軍から奪還すべく巻き起こった『マリンフォード頂上戦争』

この頂上戦争で大きな傷を負い
ルフィ達海賊への復讐に燃えるグレイドルは罠を仕掛けた島で一味を根絶やしにしようと企んでいたのであった。

果たしてメタメタの実の能力にルフィは、一味はどう挑むのか!?
白ひげ率いる海賊艦隊 vs 海軍本部・王下七武海
インペルダウンの囚人達まで加わっての大激戦となったマリンフォードの名場面と共に最新立体映像ホログラフィックでこの激闘を目撃せよ!

「俺の仲間を傷つけるんじゃねぇ!! ギア4!バウンドマン!ゴムゴムのキングコングガン!!」



最初に断っておきますが、この作品にはネタバレが問題になるようなストーリー性はなく、内容は公式サイト記載のストーリー(上記あらすじ)に集約しており、ささやかなドラマ性は"2年前"のマリンフォード編におけるエースとルフィの絆に託されています。

今作のようなホログラフィック劇場作品というものは私自身初めてで馴染みがないものですが、劇場で実際にどう見えるかというと、舞台の奥に通常のスクリーンがあり、舞台中央に"透明のスクリーン"(ここにホログラフィック映像が投射される)があると言いますか。そこにさらに舞台演出(主に照明)が加わります。映画的なカメラワークは一部のバトルシーンを除いて無く、場面切り替えも少ないので、さながらキャラクター達の舞台を観ているような感覚に近いかもしれません。



着ぐるみやコスプレ的な衣装を纏った役者、あるいは歌舞伎役者でもなく、キャラクターそのものが演じる舞台です。作品のメインヴィジュアルやPR、グッズに使われているイラストがどれもアニメ絵なので勘違いされそうですが(その点で損している気がする)、ホログラフィック映像になっているキャラクターは『ワンピース 海賊無双』や『ワンピース バーニングブラッド』で見るようなCG作画となっており、原作絵にかなり忠実です(ただし、私はナミの鼻の造形に違和感がありました…が、意識をナミの下乳に集中することでこれを回避することに成功しました)。作画の善し悪しを抜きにしても、人間離れしたスタイルと身長(正確には身長差?)が再現されており、間近で動いているのを見るのは感動的です。当然?胸も揺れます。

しかし、その場にキャラクターがいるような没入感というか臨場感は意外にもあまり味わうことはできません。おそらく、その原因はあまりにも平面的すぎるからなのだと思われます。奥のスクリーンとの対比においては奥行きは当然あるわけですが、中央のスクリーンに限れば、キャラクターは直線上に並ぶ他は無く、舞台にいるキャラクターが多い時には重なっていたりもします。実際は奥行きがあってキャラクター同士は離れているシーンなのに、映像的には重なっているように見えるわけですから臨場感が薄れてきます。この辺りはホログラフィック劇場作品の映像的な限界なのでしょうか(本作は映像的な可能性も示しており、それは後述にて)。

そこで、本作では演出によって臨場感を醸し出そうという試みが行なわれていますが、これはあまり効果的ではなかったように思えます。具体的には、観客はバルトクラブの見習いになった体であり、バルトロメオが観客に呼びかけて来たり、時には敵役の海軍に捕われたりもします。その演出をサポートするのがこの「肉ライト」です↓。入場の際に観客に配られるアイテムで、シーンに応じてオレンジ色に光ったり青色に光ったりするものなのですが、果たして準備した数が全て配られるようなことはあったのか・・・。



言い忘れていましたが、私が観た回では観客は十数名しかいませんでした。DMM VR THEATERは1スクリーンのみの劇場で座席数は352席もあり、立ち見可能なので実際は400名近く収容可能です。チケットは座席指定制ですが、前売り券購入時に席を指定できるシステムはなく、前列中央部分から自動で割り振られるようなシステムになっています。想像してみてください。広い劇場の前列中央部分に少人数の大人が席を隣にしてまとめられ、「肉ライト」なるふざけたライトを持たされて観劇する光景を。マイナーな映画を観に行った時に、自分の他に数人しかいないという状況はよく体験しますが、応援上映ではないですからね。

観客にキッズがたくさんいて、ヒーローショーの様にはしゃいでいれば状況は一変したかもしれませんが、生憎、観客には大人しかいません。このような状況では、キャラクターが観客に呼びかける演出は逆効果なのは説明するまでもないでしょう(没入感を妨げられるわけですから)。

このように観客の熱量が原因で、これら演出に対する私の感想はバイアスがかかっているかもしれませんが、そもそも映像によるこの手の演出がうまくいくとは思えません。観客は映像のキャラクターがアドリブが出来ないことも、こちらのリアクションを知る由もないことを理解しているからです。「肉ライト」を振ることで、映像と連動しているかのような演出もありますが、「肉ライト」はWiiリモコンのような代物ではないので実際は連動していません。想像してみてください。実際は連動していないと分かっていながら、良い年した大人が肉ライトを振る姿を。観客が少ないパターンの呼びかけでもあれば幾分、状況は良くなっていたと思いますが、結果としてこれらの演出は臨場感を生み出すところか、逆に映像との解離を増長してしまったわけです。

ちなみに、この手の演出で成功している例を随分昔に私は経験しています。初期の「世にも奇妙な物語」で放送された呪いのビデオをテーマにした作品で、呪いのビデオを観た者が全員亡くなり、ビデオが処分された後、事件を捜査していた刑事だったか記者が「これでひとまず一件落着ですね」的なセリフを同僚のタモさんに投げかけると、タモさんは「そうとも限らない」的な言葉を返したかと思うと、カメラの方に振り向いて目線を送り終わるのです。ドラマだからということではなく、この教訓は"バランス"なのだと思います。要するに、量的にも質的にもやり過ぎて失敗したのが本作です。

「肉ライト」にまつわる演出の話が長くなってしまいましたが、実際はそうした演出は数ヶ所でして、「肉ライト」を嫌って本作を観ないとなるのは早合点です。本作のメインは敵役・海軍中将グレイドルとのバトル、すなわちアクションシーンだからです。



グレイドルはメタメタの実の液体金属人間で、頂上戦争の際に失った左腕を能力の義手で代用しています。グレイドルの能力に液体金属が選ばれたのはCG作画が簡単という制作面の理由が大きいところだと思われるのですが、一部のアクション演出において効果的に働いています。グレイドルがメタル人形と呼ばれる分身を量産するシーンは非常にチープなものの、終盤にて麦わらの一味に変化したメタル人形と一味がそれぞれ戦うシーンは平面的でありながら面白い演出がいくつか用意されています。ゾロとサンジに化けたメタル人形をサンジとゾロがそれぞれ相手して、ゾロがサンジのメタル人形と戦っているかと思うと暗転して、サンジとゾロのメタル人形が戦うシーンに場面が切り替わるカッコいい場面もあれば、自身のメタル人形と戦うチョッパーが人獣型からカンフーポイントに変身すると、メタル人形が"ある物"に変身して笑わせてくれます。


(※ナミのメタル人形は出ていない気がする)

グレイドルの攻撃からルフィをかばって負傷したバルトロメオをルフィが抱えて会話するシーンがあり、これはマリンフォードにて赤犬の攻撃からルフィをかばった致命傷を負ったエースを彷彿させるパロディシーンになっています(実際はバルトロメオは大したケガを負っていない)。あの衝撃的なシーンをパロディとは何事かと思われるかもしれませんが、そんなに悪い気は起きません。そういったことからも本作のギャグセンスの高さが窺えます。

鬼斬りを繰り出すゾロのホログラフィック映像をスローモーションで投影しつつ、奥のスクリーンのカメラをグルグル回すことで『マトリックス』で見たような映像を再現していることには感心しました。また、最後のルフィとエースの絆を表現したファンタジー的な"ある演出"はホログラフィック作品だから成し得た感動と言いますか、原作やアニメ、舞台作品では味わうことが出来ないもとだと思います(従来の作品でこの演出をやるときっと臭くなります)。エピローグのゾロとサンジのいつもの喧嘩(の見苦しさ)をローが能力でクールに消し去る演出もグッときました。観客に呼びかける演出を除いて演出は総じて良いんですよね。

そして、作品のクオリティを著しく損なっているのはマリンフォードの回想における東映アニメの作画だったりします。このシーンでは、エース救出のためにマリンフォードを駆けるルフィをホログラフィックで投影しつつ、奥のスクーンではハンコックや黄猿など頂上戦争に集結した強者達を映して頂上戦争を再現しているのですが、この強者達の作画が東映アニメで、しかも最悪なことにほとんど静止画なんですよね。この退屈なシーンは約5分続きます(体感的に長く感じている可能性アリ)。

あとは、グレイドルが従えるパシフィスタが異常に巨大(進撃の巨人並)だとか、ギア4の羽衣的な蒸気が全然蒸気に見えないとか、液体金属なのになぜ固まるとか、おそらくドレスローザ編の直後の物語なのにローがパンクハザード編の暑苦しいコートを着ているとか、映像的にも設定的にも引っかかる部分はいくつかありますが、劇場版アニメを観るより小気味よい感動を味わうことが出来るとは思います。映画を観るより価格が高いのは分が悪いですが(映画は一般1800円、こちらは一般2700円…高すぎる)。

「テレビでも映画でも見られない、最初で最後の物語。」というキャッチコピーの通り、観客の入りからして、おそらく二度と見ることは出来ないというか、この劇場の存続さえ疑ってしまいますから、一見の価値は確かにあるでしょう。色々グッズを作るのはいいのですが、パンフレット売れよ、とも思いました。


※余談ですが、翌日『バーフバリ 王の凱旋』というインド映画を満席のスクリーンで観て数十倍の感動を味わいました(制作費、チケット価格、上映規模において全くアンフェアですが)。ともかく、どちらも劇場へ急げ!


【神奈川】 ホログラフィック新作「ONE PIECE ドラマティックステージ THE METAL ~追憶のマリンフォード~」

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