LOGPIECE(ワンピースブログ)〜シャボンディ諸島より配信中〜 超ワンピースファン的『ONE PIECE STAMPEDE』映画評論 【STAMPEDE】
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ONE PIECE STAMPEDE
公開日:2019年8月9日
上映時間:101分
原作:尾田栄一郎
監督:大塚隆史
脚本:冨岡淳広
音楽:田中公平
作画:佐藤雅将
公式サイト:https://www.onepiece-movie.jp
キャッチコピー:立ち上がれ、全勢力。


映画を観た感想をしたためたく。ネタバレありです。ちなみに2D版の感想です。4D版は『GOLD』の経験から金を払って観たいとは一切思いません・。・



アニメ20周年記念作品となった本作は、随所に20周年記念らしさを感じることができるものとなっていました。それはキャラクターであり、作画であり、音楽であり、演出であり。

キャラクターに関しては事前情報の通り、沢山のキャラクターが登場します。名前があるキャラクターは200以上登場しているという触れ込みですが、当然、普通に観ていて全てを確認することは出来ません。群衆の中に一瞬だけ登場するキャラクターも多数で、これはDVDやBlu-rayで探して楽しめばいいでしょう。この隠しキャラ的な要素は前作の『ONE PIECE FILM GOLD』で使われたものを大幅に拡張したもので、前作では登場するキャラクターによってはストーリー上、受け入れ難いものでしたが、今作のようにここまで振り切っていると普通に観ていれば寧ろ気にならないところです。

ただし、初見の段階で「パンダマンはやたらと出てくるな」という印象は受けます。映画のTwitterキャンペーンでパンダマンの登場回数はクイズにされており、その企画としてなのか元々なのか、とにかくパンダマンが登場します。予告映像の分析からは、20周年を記念してか20回登場しているようです。「パンダマンを探せ」は一興ですけども、ちょっと目障りかもしれません。

本作は「オールスター」だとか「アベンジャーズ」だと形容されます。舞台設定のお祭り感はもちろん、原作では頂上戦争編でしか実現していないような様々な主要キャラクターの共演が見所です。もう海賊ではないワポルが海賊万博の宝探しゲームにどうして参戦しているのか理解に苦しむところですが、それによりワポルとフォクシー(どちらも声は島田敏)のアニメ共演が実現しています。ただし、この二人が同じ画面に登場しますが、掛け合いが無いのが残念なところでした。

映画終盤では敵役のバレットを倒すため、海賊のルフィ、ロー、クロコダイル、王下七武海のハンコックとバギー、革命軍のサボ、海軍のスモーカー、CP-0のルッチという互いに立場の違う8人が共闘します。ここが「アベンジャーズ」と形容されるところです。戦力的にバギーは一切貢献しておらず、彼はお笑い担当でしたね(笑)。バギーとハンコック、スモーカーらの絡みが新鮮で面白いところでした。ハンコック(声:三石琴乃)は「あっはん、あっはん」とやたら喘いでいたり(笑)。また、バギー(声:千葉繁)が戦場から走って逃げている時の長ゼリフはどうやらアドリブのようです。

豪華客演の派手な映画という印象を受けますが、本作は長編の劇場版の中で最もシンプルなストーリー構成になっています。これまでは映画オリジナルキャラクターとの出会いから始まって展開していくのが定番だったのですが、それを全く無くしたことでバトルを中心にしたシンプルな構成になっています。それでいてキャラクター同士の掛け合いやバレットの戦闘形態に変化があるため、飽きさせない内容になっています。

本作の舞台となる海賊万博に到着した麦わらの一味がお祭りを楽しむ様子はオープニングの映像で処理し、序盤は宝探しゲームの催しで最悪の世代らを中心にキャラクターが次々に登場するテンポの良い展開です。ここでは最悪の世代の海賊船や船長同士の戦闘、空島編のノックアップストリームの攻略と重なるフライングサニー号などが見所です。

その後、レースにバレットが乱入してバレット対最悪の世代の船長と展開します。ここで宝探しゲームの本命であるロジャーの遺産の正体が「ワンピース」であることも示唆されます。小さな宝箱に入ったものが「ワンピース」って・・・ロジャーのへその緒かな?なんて何だか不安に思ったりもしましたが、実際はそれが「ワンピース」ではなく、グランドラインの終着地ラフテルへのエターナルポースであることが後に明かされます。これがCP-0のルッチが参戦する理由になっており、上手い設定でした。

そして、バレットが覚醒したガシャガシャの実の能力を発動し、海賊船を含めた島中の無機物を取り込んでバレットが超巨大化します。ガシャガシャの実の能力のCGは陳腐で確実に減点ですけどね。海軍の「バスターコール」が海賊万博の会場の島にかけられていることが明らかになり、観客や大方の海賊と海兵もここで退散していきます。これにより多数のキャラクターが参戦する乱戦にはならず、最終局面の”アベンジャーズ”に収束することになります。この辺りも脚本が上手いところです。まぁ、「バスターコール」に編制された軍艦は劇中ではショボく見えて、バレットも島も破壊し尽くすことはとても出来そうに見えず、そして、いつになったら発動するんだよという突っ込みどころはありますが。

「バスターコール」自体はバレットとフェスタが仕掛けたものでした。バレットの目的は己の強さの証明であり、『キングダム』の龐煖(ほうけん)のような感じでしょうか。「バスターコール」にかつて敗れた経験があり、その屈辱を晴らすために、敢えて「バスターコール」も受けて立つというスタンスです。ところで、海軍大将の藤虎も現場に来ており、隕石を大量に落とせば、こいつ一人で「バスターコール」が成立するんじゃ?…なんて思ってしまいますが、藤虎本人はさっさと去っていきます。

”アベンジャーズ”の場面では、先程も言ったようにそれぞれのキャラクターの絡みが見所です。それとハンコックの全力疾走も見所でしょう。チームの一体感はまるでなく、それぞれが好き勝手にやるので歩調は全然合わないわけですが、ローのオペオペの実の能力が上手く機能してバディ感を演出しているのが、アツい展開です。ここでも「バギー、お前何も貢献してないだろ!w」と突っ込みたくなりますが、まぁバギーは十分、ある意味活躍しているのでいいでしょう。

しかし、普通に考えるとローのオペオペの実の能力やクロコダイルのスナスナの実の能力はバレットのガシャガシャの実の能力に対して相性が良いので、回りくどい攻略しているなぁと感じてしまったり…。オペオペの実の能力でバレットを丸裸で孤立させることもできますし、スナスナの実の能力で超巨大化したバレットのロボを全て砂に化すことも出来たわけです。

ここではもう一つアツい展開、ウソップの活躍があります。予告映像であるバレットにボコボコにされてロジャーの宝を奪われたウソップは「弱くてごめん」と、W7編を彷彿とさせる状況から、中盤ではさらに超巨大化したバレットに弱さを嘲笑われるものの、ウソップが仕掛けていた”種”の伏線が終盤で回収され、「おれは狙撃手 援護が花道」に繋がります。そのままルフィがさくっとバレットを倒してくれれば気持ちよく終わったのですが、その後しばらく「うおおおおお!!」という感じで、バレットとルフィの戦闘が続きます。

バレットの巨大な鎧が剥がされた後は、サボはフェスタのところに行き、クロコダイルとルッチはゾロとサンジに阻まれたわけですが、この時、バギーは置いといて、ハンコックとスモーカー、ローは何をしていたのだろうか、と。おそらくここまで見せ場が無かったサンジの魅せる場面を演出したかったと思われますが、ウソップのアツい展開のまま、さくっと勝ってくれた方が違和感がなかったのかなと思います。まぁ、あそこで「ウィーアー!」が流れて結局アツくなったわけですが。

前作『ONE PIECE FILM GOLD』の敵役テゾーロが敗れる直前にあった回想の挿し込みが今回もバレットでありましたが、前回のような邪魔な感じはあまりなかったです。オチについては今回も前作同様にバレバレでしたね。ラフテルのエターナルポースが出た時点でルフィが最後あ〜するだろうというのは真っ先に思いました。そんなものがあると物語に支障が出ますしねw

毎回物議を呼ぶゲスト声優に関しては、私は特に気になりませんでした。主要なゲスト声優3人にはワンピース好きの芸能人が選ばれており、事情をよく分かっているのかそれぞれ存在感を消すように声を変えて演じています。事前の状況からもっとも批判を浴びそうだった歌姫アン役の指原莉乃さんは、東京ワンピースタワーのライブショーの歌姫アンに声を当てている早見沙織さんに声を寄せている印象がありました。アンが劇中で歌を歌っていないのも幸いしています。そして何より、ゲスト声優の主要キャラクターは麦わらの一味と必ず絡むものでしたが、本作では絡みがほぼないのが大きいでしょう。

その他のゲスト声優も今回の映画では存在感が無く、全然気になりません。観る側を何かと不安や不満にさせる要素があるゲスト声優枠は無くして欲しいわけですが、ともかく今回は気にならなかったので問題なしということです。

アンといえば、映画の最後の方でサボの提案でビジョビジョの実の能力を使った見せ場があります。エースのビジョンを映し出して、メラメラの実の能力をサボとエースが一緒に発動したかのように見せる非常に”くさい”演出なのですが、これは東京ワンピースタワーのライブショー「PHANTOM」から着想したものと思われます。エンドロールのクレジットで気になったのは、このエースが「???」でクレジットされていたために、古川登志夫さんがエース役と理解していない人はこのクレジットに困惑しているようでした。明らかにクレジットで「???」が目立っていましたからね。

キャラクターデザインは原作に近く、作画はかつてないほどのクオリティでした。と言っても、良いと思うところは紙芝居的だったり、顔のアップだったりして、アニメーションの動きが省かれているところは節々に見られるわけですが。戦闘シーンでは個人的に好みではない過度なデフォルメと言うのか、そういうものはなく、良かったなと思います。”ゴムゴムのキングコブラ”は必ず相打ちになるのが定番になってしまうのでしょうか?w

BGMには初期の懐かしの主題曲のアレンジが流れ、20周年らしさを感じるとともに、場面に合わなくて”くさい”とも感じたのですが、最後「ウィーアー!」で全部もっていった感はあります。エンディングで流れた本作の映画主題曲もかなり良かったです。さすがに『STRONG WORLD』の「fanfare」に敵いませんが、それに近い高揚感をもたらしてくれます。

それに対してオープニングはかなりショボかったですね。音楽も作画もそうでもなく、何よりナミのミスコンのシーンはもっとちゃんと描いてくれよ、と。

本作はキャラクターが多数登場するということで、どのように話をまとめるのかというのは観る前の不安であったわけですが、バスターコールを使ってキャラクターの大半には早々に退場してもらい、ラフテルへのエターナルポースという餌で、強敵バレットに立場の違うキャラクター達が共闘して挑むという展開に上手くまとめているのは評価できるところです。『ONE PIECE FILM』シリーズ以降で、脚本は一番ちゃんとしていると思います。わちゃわちゃした映画ですけど、衣装替えのような変な演出や強引に感じる展開はなく、意外に無駄も無くてテンポ良く◎。

別行動していたロビンの役割が劇中で結局意味があったのか微妙だったり、さっきまでチョッパーに抱えられていたローがスモーカーと対峙した時にロビンを抱えて逃げ(たように初見で見えたのですが、勘違いだったらごめんなさい)、それを特に気にした様子のないサンジだったり、細かいところを言うとここまでも色々指摘したようにやはりツッコミどころはあるわけですが、脚本の大筋はしっかりしているので、その辺りは許容できるところです。キャラクターがわちゃわちゃしていて、それぞれの細かい動向はあまり気にならないというのもありますがw

原作では見れないキャラクター同士の掛け合いはやはり本作の魅力です。クロコダイルがロビンに「ミス・オールサンデー」と呼びかけるところはゾクッとする感じがありますね。ハイライトはウソップの活躍と”アベンジャーズ”のところでしょう。映画の中で麦わらの一味全員になにかしら活躍の場面を作ろうとすると色々と苦しくなってきますし、マンネリになったりもします。今作のウソップのように麦わらの一味はスポットを絞って描くのが劇場版では適しているのかなと思います。また、映画オリジナルキャラクターを出さなくても、キャラクターの取り合わせで凄く新鮮に見える、かつ面白いということが分かったわけですから、次回作以降のアイディアに期待したいところです。

そして本作がワンピース劇場版の新しいスタンダードとして指針になることを期待します。前作までの『ONE PIECE FILM』シリーズは『STRONG WORLD』の成功に囚われていた感がありますからね。やはりワンピース劇場版はシンプルな構成の方が映画として適しているんですよ。その方が完成度も高くなるわけです。

最後にワンピース劇場版の個人的TOP3を載せておきます。おそらく共感はあまり得られないでしょうが(笑)。ちなみに、3つとも別物なので順位付けはしていません。


<TOP3>
・ONE PIECE ねじまき島の冒険(2001年)
・ONE PIECE 3D 麦わらチェイス(2011年)
・ONE PIECE STAMPEDE(2019年)


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無題
名無し
ウルジストとしては最初にバレットにダメージを与えたウルージさんに歓喜しました。
ハンコックの走り、バウンドマンより速そうに見えたし、蹴りもとんでもない威力でしたね
メロメロの能力はもちろんフィジカルもかなりのもののようです
改めて七武海の貫禄を見せつけられました
2019/08/12(Mon)18:18:10
無題
名も無き島民
感想まってました。
敵が幹部使わなかった。レギュラーメンバー(ゾロ、サンジ)が空気にならず、出過ぎずのバランスだった。ロジャーの宝がガッカリする物じゃなかった。上記3つの点が特に良かったです。
島民さんはファンであっても厳しい所は厳しいと仰るから良いですね。ファンじゃない方が読んでも臭くならないと思います。
でもエターナルポースをロジャーが否定したら、本編ではどうやって行くんですかね。ラフテルの綴りと意味が関係あるのかな
2019/08/12(Mon)18:19:46
無題
そげきの王
ウソップを弱さの象徴としていつまでも使い続けるのはやめてほしいなと、ウソップファン的には思ってしまいました。見せ場があっただけ喜ぶべきなのでしょうか、、どのように感じますか?
2019/08/17(Sat)00:14:41
Re:無題
シャボンディ島民
この映画の中で、狙撃手のウソップが超パワー系のバレットに近接戦で敗れるのは然るべきだとは思います。近接戦ではウソップは間違いなく弱いです。それはナミも同じで、物語の中で年月が経たない限り、今後も変わることはないかと思います。展開的には弱いと舐めていた奴に敵役がしてやられるという誰もが好きな面白さもあります。

おそらく「弱さの象徴としていつまでも」と感じてしまったのは、この映画がこれまでの物語の展開やセリフをリフレインして20周年らしさを感じさせる演出によるところが大きいかと。ウソップに関してはW7編〜エニエス・ロビー編とダブる演出なので、確かにそう感じてしまうことはあるかもしれません。私は好意的に観ていましたが。

劇場版では一味の誰かをフィーチャーする場合があり、ゾロ、ナミ、チョッパーがこれまで機会があったでしょうか。オールスターと形容されている今回の映画で、ウソップにあれだけ存在感のある見せ場があったのはウソップファンならガッツポーズものでしょう。私が言うことはではないですが(笑)。

ただし、ウソップが今回もそうでしたが泥臭すぎるっていうのはちょっと感じます。新世界編のはじめの頃のクールさはどこへ行ってしまったのやらw
2019/08/17(Sat) 11:31
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