LOGPIECE(ワンピースブログ)〜シャボンディ諸島より配信中〜 ”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”が複数あるという誤解について
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私は他の人の『ONE PIECE』考察は極力見ないようにしているわけですが、最近はネットニュースでも『ONE PIECE』の考察・感想を扱う記事が出てきたため、記事タイトルだけでも否応なしに目に留まる機会が増えてきました。私がよく閲覧しているYahoo!ニュースと提携しているところだと、マグミクス、リアルサウンド、ダ・ヴィンチ等がその手の記事を書いています。


この記事で言及するのは、


「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」複数説


についてです。


この説は、マグミクスの記事「ビッグ・マムが意味深発言!『ワンピース』の「ひとつなぎの大秘宝」は複数ある?」等で取り上げられています。


※原作1040話(コミックス103巻収録)の内容を基にした考察のため、コミックス派には多少のネタバレを含みます。


記事では、1040話に対するネット上の「もしかして『ひとつなぎの大秘宝』ってひとつじゃないの?」という反応を引用し、ワンピース複数説が浮上したとしています。

この説の論拠は次のように説明されています。

大海賊時代の発端となったロジャーに恨み節を吐き始めたビッグ・マムは、「(ひとつなぎの大秘宝は)この国にもあるんだろ?」と述べたのです。「この国に」ではなく「この国にも」と語ったことから、ネット上では「ビッグ・マムの言い方だとワノ国に宝の一部があるのか?」「ひとつなぎって複数の宝を繋げたりするのかな」などの話題があがっていました。


一方、私はこのビッグ・マムの発言を意味深なものだとは全く捉えていません
1040話考察では、ビッグ・マムの発言について以下のように言及しています。

新世代に敗れることになったビッグ・マムは落下する間、「大海賊時代」で新世代が台頭する切っ掛けを作ったロジャーに愚痴をこぼすように語りかけており(回想の可能性もある)、ワンピースの正体についてはやはり知らないわけですが、ビッグ・マムの見解が垣間見えています。

(おい ロジャー お前 なんであんな事言い出しやがった!?)
(世界はまんまとのせられた 「大海賊時代」!?)
(お前は死ぬからいいけどよ!! 世界中で名乗りを上げるガキ共の相手すんのはおれらだぞ!!!)
(教えて死ねよ!! 「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」!!)
(ちゃんとあんだろうな!!)
何がある!? どこにある!!?
この国にもあるんだろ?
(ああ口惜しい!!)

この落下最中のビッグ・マムの思考は演出上の回想のカットインの可能性もありますが、その場合、ワンピースの正体について「何がある!? どこにある!!? この国にもあるんだろ?」の「この国」がどこの国を指しているのか不明になります。落下最中の思考であれば、「この国」とはワノ国のことを指しており、仮に回想だったとすると、ワノ国もしくはビッグ・マムがナワバリとしていたリュウグウ王国を指している可能性が高いです。

しかし、結局のところ、ビッグ・マムは真相には一切近づいておらず、ワノ国(もしくはリュウグウ王国)に重要なヒントがあるぐらいの手がかりしか掴んでいないのだと思います。それが「何がある!? どこにある!!? この国にもあるんだろ?」という言葉に表されています。


説明をほとんど端折っているので(元より重要視していないので)、ここで補足しますが、”偉大なる航路(グランドライン)”の最後の島・ラフテルを目指すためには、通常はまず、記録指針(ログポース)を辿って行くことができる最終地点・水先星(ロードスター)島に辿り着くことになります(966話)。

ルフィ達はその航海をスキップしているため、水先星島に何があるのかは不明ですが、本来はそこからラフテルに到達するためには”歴史の本文(ポーネグリフ)”と”古代文字”の謎を解明しなければならないことに気づくわけです(820話、966話)。

ラフテルを目指す四皇のカイドウビッグ・マムは、古代文字を解読する術は無いものの、4つしか存在しない赤い石”ロードポーネグリフ”をそれぞれ1つ所有しており(818話)、その重要性には気づいている様子でした。

846話

さらに、情報網に優れたビッグ・マム海賊団においては、ラフテルに到達するために4つのロードポーネグリフが必要であることポーネグリフは全部で約30個存在すること、その内、”情報”を持つ”真の歴史の本文(リオ・ポーネグリフ)”が9個存在し、それらの情報をラフテルに導くと、この世の”真実”が明らかになるという考えにまで至っています。

しかしながら、ビッグ・マムやカイドウには古代文字を読む術はないため(ビッグ・マムが期待している三つ目族のプリンの「開眼」(853話)には至っていない)、リオ・ポーネグリフを見分けることはできないはずです。彼らにとってヒントとなり得るのは、ラフテルに”歴史上”唯一到達したロジャー海賊団の足跡やロードポーネグリフの在処ぐらいなものです。

だからこそ、ビッグ・マムはリュウグウ王国をナワバリにし、カイドウはワノ国をアジトにして光月家に接触したわけです(カイドウの場合、やり方が雑ですが)。いずれの国もロジャー海賊団の足跡とロードポーネグリフがあった場所です(967話)。

ビッグ・マムとカイドウは古代兵器ポセイドンの正体(伝説の人魚)などについては知らないはずですが(古代兵器の情報はリオ・ポーネグリフが読めたとしても、在処しか分からない模様。967話)、ともかく、リュウグウ王国やワノ国など重要と考えられる場所にロードポーネグリフ以外に鍵となる何かが存在するということは勘づいているのだと思われます。

これが1040話のビッグ・マムの「何がある!? どこにある!!? この国にもあるんだろ?」という言葉に繋がるわけです。そもそも、ワンピースの正体を知らないビッグ・マムの発言に示唆を汲み取ってもあまり意味がありません


一方、例の記事ではワンピース複数説を裏付ける伏線として、968話の一節を例に挙げています。

例えば968話では、「ロジャーが手に入れた全てのもの」を総称したものが「ひとつなぎの大秘宝」だと説明されています。こちらも宝がひとつだった場合「全てのもの」と表現するのは違和感があるため、「ひとつなぎの大秘宝」は複数ある可能性が高いのではないでしょうか?


これについてはネットの受け売りなのか、ライターの考察なのか私には不明ですが、ともかく、この考察は誤っていると断言します

なぜなら、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」の名前は、ワンピースの正体を知らない世間が呼んだものだからです。

新聞記事ではロジャーの偉業について、「”富””名声””力”全てを手に入れた男「海賊王」ロールド・ロジャー」と書き立て、これを受けて「世間はロジャーが手に入れた全ての物を総称し”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”と呼んだ」(968話)とされています。

そして『ONE PIECE』第1話、ロジャーは処刑時に「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ」「この世の全てをそこに置いてきた」などと発言したことで、ワンピースはラフテルにあるという話になり(105話)、大海賊時代が幕開けとなりました。

補足説明を入れて時間軸で並べると、以下の通りです。

ロジャーが”莫大な財宝”が噂される「最後の島(後のラフテル)」を目指す(966話)


ロジャーが「ラフテル」に到達(967話)


「ラフテル」の”莫大な財宝”を手に入れた(はずの)ロジャーは”””名声”””全てを手に入れた男「海賊王」と新聞に書き立てられる(968話)


世間はロジャーが手に入れた全ての物を総称し”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”と呼ぶ(968話)


ロジャーは処刑時に「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ」「この世の全てをそこに置いてきた」などと発言(1話)


ワンピースは「ラフテル」にあるという説が有力(105話)


分かりやすく色分けしてみたのですが、”ワンピース”と言った場合、世間で言われている「ロジャーが手に入れた全ての物」と、元々、ラフテルにあったと噂される「莫大な財宝」(正体不明)の2つの意味を持ち合わせています

だからこそ、”ワンピース”があるラフテルに到達するとロジャーが手に入れた称号「海賊王」も手に入れることになるわけです(2話)。これは栄ちゃんが既に否定していますが(尾田栄一郎「ワンピースの正体は自分の心の成長でした みたいな事はしません」【さくらももこ対談】)、仮にワンピースが概念的なものだったとしても、ラフテルに到達するとルフィは「海賊王」に成れるわけです。

1040話のビッグ・マムの発言(前半部分)からは、ビッグ・マムが”ワンピース”は「莫大な財宝」だと信じているようには思えません。ロジャーが遺した宝を探し求めていたら、どういうわけかポーネグリフと古代文字の謎を解明しなければならなくなったわけですから。ビッグ・マムに関しては「海賊王」の名声も欲しいのでしょうけど、単純に真実も知りたいのでしょうね(カイドウはたぶん”真実”に興味はない)。


”ワンピース”は世間が呼んだ名称ですが、公式ファンブック『ONE PIECE BLUE』の作者アンケートでは「まわりの誰も知らないであろう秘密はありますか?」という質問に対して「『ONE PIECE』のタイトルネーミングの秘密」と回答されています。この秘密は未だ明らかになっておらず、タイトルの伏線回収はいつかあるかもしれません。


さて、ここまで説明した通り、

ワンピース複数説は説とも言えないようなただの誤解です。


例の記事が掲載されたYahoo!ニュースには、350件ほどのコメントが付いていることを確認できるのですが、この点について指摘しているコメントは見当たりません。実際は全部のコメントを確認していないのですが、コメントは大体、僕が考えたワンピースの正体とか、最近のワンピースの感想とかで、すぐに諦めました(笑)。



思いのほか前説が長くなってしまったのですが、最後にこの話をしようと思って、この記事は書き始めました。『ONE PIECE』の考察や感想がネットニュースに取り上げられるようになった最近のこのトレンドは、


間違いなく「#今週のワンピ」の影響が大きいと思われます。



一応、知らない人に説明すると、「#今週のワンピ」は週刊少年ジャンプに掲載された『ONE PIECE』最新話の感想を投稿する際のハッシュタグです。主に日本国内のTwitterで浸透しています。

海外では「#ONEPIECE○○○○(話数)」というのが使われているようですが、「#今週のワンピ」では毎回ハッシュタグを変える必要はなく、また、ジャンプ派でない人はTwitterのフィルター機能で「#今週のワンピ」をミュートすることでネタバレを回避することが可能になっています(一時的ですが)。

「#今週のワンピ」はカップヌードルを食べるルフィが表紙を飾った週刊少年ジャンプ2020年13号から、ONE PIECE公式Twitterが最新話の感想を投稿する際の推奨ハッシュタグとしてキャンペーンを始めたもので、今や『ONE PIECE』が掲載された週刊少年ジャンプが発売された日には必ずTwitterのトレンド入りするという、一つのトレンドになっています。


「#今週のワンピ」のトレンドが始まる前のネットニュースの様相は今と少し違っていて、始めに述べたように『ONE PIECE』の考察・感想を扱う記事というのは多くはありませんでした。それこそ逆に、『ONE PIECE』をやたらと腐す「おたぽる」(サイゾーによる運営)というネットニュースが「#今週のワンピ」がトレンド化される前の1年間ぐらい、Yahoo!ニュースと提携していたことがあって、よく目に入り記事タイトルだけでも不快だったものです。

結局、『ONE PIECE』を腐しても記事は売れなかったのか、単純に記事が面白くなかったのか、記事を読んだことがないので定かではありませんが、「#今週のワンピ」がトレンド化したことで、結果的にネガティブな記事が消え、ポジティブな記事が増えたことは『ONE PIECE』にとって良いことだったと思います。

ONE PIECE担当編集が漫画担当とメディア担当の2つに分かれ、さらにSNSやYouTubeに力を入れ始めて以来、『ONE PIECE』では、これまでになかった自由度の高い様々な企画やコラボレーションが行われるようになりましたが、「#今週のワンピ」で感想や考察を共有するというトレンドを作ったのが、ONE PIECE担当編集が『ONE PIECE』のために、ファンのためにしてくれた最も大きな功績なのは間違いありません(他は正直わからん)。



ゴムゴムの実の”タネ”はいつから仕掛けられていた?

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無題
名も無き島民
「この国にもあるんだろ?!」は「手がかりが」という意味だと思っていたので複数説は意外でした(まあないでしょうが)。
ネットニュースの記事本文はともかく、コメント欄はほぼ読まなくなりましたね。いろいろな意見はあって当然なのですが、いやそれ記事に関係ないやん、というような「腐し」、下手すると陰謀論的な妄想や、作者やファンへの中傷まで出てきがちなので。
特に「ニカ」関連では今後一種の対立煽りのような記事が出てきそうで危惧しています。
2022/04/11(Mon)09:01:02
無題
名も無き島民
そもそもその手の考察なんてここみたいな個人ブログの方がしっかりしてるんですよね
2022/04/11(Mon)14:15:23
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